第40章 これからもずっと傍に(♥)
「カノ!卓球やろ!」
少し部屋でのんびりした後、"暇だから探検しに行こ!"と暇を持て余したマイキーに誘われ、卓球が出来るスペースへとやって来た。
「(卓球なんていつぶりだろう。社会人になってからは全然やってないな。)」
「ただ打ち合うだけじゃつまんねーし、負けた方が勝った方の"お願い"聞くって言うのどう?」
「やる前から私の負けが決まってるようなもんじゃないですか。無理ですよ、マイキーくんに勝つなんて」
「そんなのやってみなきゃ分かんねぇじゃん。もしかすると奇跡が起こってカノが勝つかもしれねーだろ」
「("無敵のマイキー"にどうやって勝てと?簡単に決着がつくのが目に見える…。)」
「ちなみにオレのお願いは決まってるけどな」
「どんなお願いですか?」
「秘密♪」
「(うわぁ…楽しそうな顔。マイキーくんのお願いってイコール"我儘"みたいなものなんだよな。)」
今までの我儘はカノトが恥ずかしがるようなものばかりだった。"決まっている"と嬉しそうに笑ったマイキーの顔に嫌な予感を覚える。
「先に1ゲーム、つまり11点を先に取った方の勝ちな。カノから打っていいよ。ほら、ボール。」
オレンジ色の小さなプラスチック製の玉をこっちのコートまで軽く投げて寄越してくれる。バウンドして上下に跳ねるボールを両手でキャッチした。
「マイキーくん、卓球やったことあります?」
「ガキの頃はエマとかシンイチローと一緒にやった記憶はあるけど、小学校上がってからは全然ねーかも」
「……へえ」
これは私にも望みがあるのでは!?
急にやる気が溢れたカノトは小さく口角を上げてニヤリと笑う。ギュッと掌にあるボールを握り、マイキーへの闘志を燃やす。
「絶対勝ちますから!」
「急にやる気だな。勝負に勝って、カノはオレに何をお願いさせる気?」
「ニヤニヤしないでください。別に変なお願いはしませんよ」
「変なお願いって?」
「…わかってて聞いてますね?」
「えー分かんなぁーい♥」
絶対わかってる…
「だ、だから…いかがわしいお願いですよ」
照れた顔で口ごもりながら言う。
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