第39章 不器用な友達
「いつまで握ってんの。話もう終わりだろ?こっからはオレとイチャイチャの時間!」
「わっ」
海凪との仲に嫉妬したマイキーが頬を膨らませ、後ろからカノトの首に腕を回し、引き寄せる。
「急に引き寄せないでください」
「海凪とばっか話してズリィ。オレともいっぱい喋ろ。だからこっち見て。視界にオレを映してくんなきゃやだ」
「駄々っ子発動ですか」
「駄々っ子じゃねーし…。そろそろオレに構えって言ってんの。放置されんのやだ。だから正面からギュッて抱きしめろ」
「(駄々っ子。)」
カノトに構ってもらえず、面白くなさそうにむくれるマイキーは駄々を捏ね、我儘を言う。"しょうがないな"と愛しさが込み上げ、マイキーを正面からギュッと抱きしめた。
「あー…すげぇ好き。好き、好きだよカノ。マジで大好き。大好き過ぎてハートいっぱい溢れる。なぁオレのこと好き?大好き?愛してるって言って」
「ま、マイキーくん…」
「何で言ってくんねーの?いつもは言ってくれんじゃん。あ、もしかしてケンチン達がいるから恥ずかしくて言ってくんねぇの?」
耳元で囁かれ、ぞくっと体を震わせる。マイキーはカノトを抱きしめたまま、ジー…っとドラケンと海凪をジト目で見ている。
「いや、勝手にイチャついといて何邪魔だみてぇな目でこっち見てんだよ」
「ていうかほんと時と場所を選ばないのね。誰がいてもお構いなしじゃない。しかもサラッと惚気けたわ」
「だからハート飛ばし過ぎなんだよ」
「ケンちゃんが後でイチャついていいなんて言うから」
「お前だって後でいくらでも二人の時間をやるとか言うからだろ」
二人が控えめな言い合いをするのを気にも留めず、マイキーは愛しい愛しい恋人とイチャつく。
「なぁ、ちゅーしたい」
「っ、だめですっ」
「何で?ちゅーしよ。きもちーよ?」
「む、無理…恥ずかしい…っ」
「オマエから見えねーじゃん。大丈夫、軽く唇にチュッてするだけ。な?ちゅーしよ。」
「そう言っていっつも本気ちゅーするじゃないですか。絶対軽くじゃない」
「ケンチン達に見せつけてぇじゃん。オレらいつもこんなキスしてんだぞって」
「尚更ダメに決まってます」
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