第39章 不器用な友達
「むっ…ケンチン!カノがちゅーしてくんねえ!」
「ドラケンくんに報告しないでください!」
「あのな…俺らがいる前でされても困るんだよ。つーか知り合いのキス現場なんか見たくねぇわ」
ドラケンはうんざりした顔で溜息を吐いた。
「確かに甘すぎて胸焼けするわ…」
「呑まれたら終わりだぞ。コイツらの甘さは伝染するからな」
「既にあの二人の甘さに呑まれそうだわ…」
「けどアイツら以上に幸せな恋人はいねーだろうな」
「いたとしてもあそこまで歪んでないわよ。万次郎がとにかく凄い。あの子に向ける愛が想像以上に重いわ。さっきも万次郎があの子に伝えた愛が重くて少し引いたもの」
「勢いが凄かったな。迫られてるって感じがしてちょっと怖かったわ」
「本当にあの子しか見えてないのね…」
「今回はマジでダメかと思ったけどな。カノがマイキーを完全に拒絶した時点で二人の関係は終わった。けど…マイキーが記憶を取り戻して、カノがマイキーを許したおかげで、壊れた絆は修復されて、二人は離れずに済んだ」
「きっと二人の愛が奇跡を起こしたのね」
「奇跡か…そうかもしんねーな」
幸せそうに笑う二人を見てドラケンと海凪は優しい眼差しを向けた。
「マイキーくん。旅行、今度のお休みに行きませんか?」
「いいよ」
「最高の日になるといいですね」
「オレがオマエを楽しませるんだぞ。ゼッタイ最高の日になるに決まってンじゃん。つまんねー旅行にする気ねーし」
抱きしめていた体を一旦離し、マイキーは当然の如く、答える。
「サプライズもあるんですよね?凄く楽しみにしてますから」
「おー楽しみにしてろ。むしろ期待してていいよ。カノがビックリして言葉失うほどのサプライズだから」
「はい」
「それとオレにぐずぐずに甘やかされる覚悟も一緒にしといて。その日はオマエをめちゃくちゃに愛し尽くすって決めてるから」
「覚悟はできてますよ。大好きマイキーくん。たくさん思い出作りましょうね」
「ほんと可愛すぎ。どこまでオレを惚れさせれば気が済むんだよ」
微かに頬を紅く染めたマイキーがカノトをもう一度、ぎゅっと抱きしめた…。
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