第38章 君の代わりなんて誰ひとり
「チッ…うるせーな。オレもコイツも結婚なんて認めねぇって言ってんだ。それにテメェらがいるからカノは苦しんでんだ。ならオレが救ってやらねぇとだろ?」
零夜は冷淡な眼差しでマイキーを見ている。その心情は誰にも読めない。ただ無表情を浮かべたまま、ずっと口を閉ざしている。
「カノ」
「マイキーくん…?」
優しく名前を呼ぶと、カノトの両手をギュッと包み込み、愛おしげな眼差しで笑う。
「オレと結婚を前提に改めて付き合ってくれ」
「え!?」
「はぁ!?」
「!」
「…………」
カノトと悠生がそれぞれ別の意味で驚いた声を上げ、尚登は微かに目を見開き、零夜は表情一つ動かさず、マイキーを見た。
「け、結婚…わ、私と…?」
「オマエ以外に誰がいんの。つーか驚き過ぎじゃねー?オレはオマエと結婚するつもりで一緒にいんだけど?」
「お、驚きますよ!!」
「そ?でもオマエだってこの先もずっとオレと一緒にいたいって思ってくれてるだろ?」
「当たり前じゃないですか…マイキーくん以外の人と一緒になる気もないですよ」
「じゃあいいじゃん。オレと結婚しよ♥」
「そんなあっさりと…。まぁ、マイキーくんにムードとかは求めてないですけど」
「結婚してくんねーとやだ」
その言い方が可愛くてつい笑ってしまう。
「私でいいんですか?」
「むしろオマエがいいし」
「私と幸せになってくれます?」
「当たり前だろ。その代わり、オマエもオレを幸せにしろよ。二人で幸せになるって言ったんだからな」
「そうでしたね」
カノトは嬉しさの余り、涙を浮かべる。
「好きだよカノ。めちゃくちゃ大好き。この先もオマエだけを愛してる。だからオレと結婚して。未来でもオレと一緒にいてよ」
答えは既に決まっていた。
「……はい!!」
マイキーに思いきり抱き着いた。勢いの余り倒れるかと思ったが、そこはしっかりマイキーが支えてくれて、マイキーもカノトをギュゥッと抱き締め返す。
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