第38章 君の代わりなんて誰ひとり

「尚登さん！」



尚登が帰って来たことで味方が現れた！とホッと安堵する悠生。だが尚登は悠生の方には目もくれず、真っ直ぐにマイキーを見ている。



「何だお前は？」



「コイツを助けに来たヒーロー」



「ヒーローだと？」



ふざけているのかと尚登は不愉快そうにグッと眉を寄せ、顔をしかめる。



「心叶、何故その男と一緒にいる。お前の婚約者は彼だろう？それとも早速浮気か？」



「私は彼と婚約するなんて一言も言っていません。それなのに勝手に婚姻届を提出するなんてどういうつもりですか」



「お前がいつまでも駄々を捏ねるからだ。せっかく吾妻君がお前のような出来損ないと婚約してくれると言っておるのだぞ。それを素直に受け入れるのがお前の役目だろう」



「私は彼とは結婚しません」



「…理由は？」



「彼との未来に幸せは見えないからです。それに私はこの人と…マイキーくんと一緒に幸せになるって決めてるんです」



「！"マイキー"だと？…そうか、お前が佐野万次郎とか言う男か。儂の可愛い孫娘を誑かしおって。見た目通り不快でしかない」



"可愛いなんて思ってないくせに!!"



カノトは恨めしそうに尚登を睨む。



「アンタがカノをそいつと無理やり結婚させようとしてるヤバい奴？悪いけどコイツはオレのって前から決まってんだよ。だから勝手に結婚相手とか探されても困るんだよね」



「目上の者に対してその口の利き方。やはり不良など社会のゴミ。生きる価値など無いに等しい。孫から離れろ。お前のようなクズと一緒にいたらその子まで汚れる」



いつもの人当たりの良さそうな笑みを消し、怒気を含む声でマイキーを睨む尚登。



「マイキーくんはそんな人じゃない！おじい様の方がよっぽどのクズじゃないですか！」



「あぁ心叶よ…儂の憎らしい孫娘。その男に随分と洗脳されているな。可哀想に…早く目を覚まさせてやらねばならん」



「洗脳なんかされてない…！」



「オマエのじいさんも話が通じねぇな。だからさカノ、ここはオレに任せてくんねえ？」



「マイキーくんに？」



「安心しろ、必ずオマエを守る」



「…わかりました」



マイキーくん



一体何を話すつもりだろう？



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