第38章 君の代わりなんて誰ひとり
「ふぅん…なるほどね」
「(マイキーくんの声が低くなった…)」
「吾妻、オマエ本気でコイツと結婚できるとでも思ってんのか?」
「あ?」
「できるわけねぇだろ。コイツはオレを選んだんだ。だからコイツを幸せにすんのはオレの役目。オマエじゃなくて、オレがこの先もずっとカノを幸せにするんだよ」
当たり前のように言い退けるマイキーの態度に悠生は苛立ちを募らせた。
「ふざけんな!お前は彼女を不幸にする存在だ!これ以上彼女を不幸にしてたまるか!」
「何言ってんだオマエ?」
「佐野万次郎!!お前に彼女は渡さない!!俺達は結婚して幸せに暮らすんだ!!それを邪魔するつもりなら殺すぞ!?」
「殺す?テメェがオレを?…ははッ、一体なんの冗談だよ?テメェがオレを殺れるはずねぇだろ」
「冗談で言ったつもりはねえよ。俺達の幸せを邪魔する奴は誰であろうと許さない。彼女は俺のなんだよ!!」
「…誰がテメェのだって?」
「!」
「コイツは最初からオレのもんだ。それを横から奪おうとしてんのはテメェだろうが。勝手に気色悪ぃ妄想膨らませやがって。オレ達の幸せを邪魔したのはテメェだろ」
「は…?妄想じゃねーよ。俺達はお互いに愛し合ってるんだ。やっと夫婦になれたんだよ!彼女はお前のことなんか忘れてこれからは俺との思い出だけを大切にして生きていくんだ…!」
「マジでイカれてんな」
不気味に笑う悠生のおかしな発言にマイキーは呆れ返り、引いていた。
「オマエも妙な奴に好かれたな」
「…凄く困ってます。被害妄想が強過ぎてこっちが何を言っても聞いてくれないんです」
「ああいう奴が一番厄介なんだよな」
「同感です」
「二人で何コソコソ喋ってるんだよ!?彼女と距離が近い!!すぐに離れろ!!」
「離れる必要なんてねーし。だってオレら超ラブラブの恋人同士だもんなー♥」
「(うわぁ…挑発してる。)」
「違う!!彼女はもう俺の恋人だ!!」
「そんなのオレが許すはずねーじゃん。カノがオレ以外の奴を好きになるなんてぜってー無理だし。コイツは誰にも渡さねぇよ。もちろんテメェにもな」
「相変わらず憎らしい野郎だな…ッ」
悠生はマイキーを睨み付ける。
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