第4章 冷たい拒絶
「話す事はありません」
「あなたは龍宮寺堅の死に関与してますね?」
「!」
「……違う…それは…」
「愛美愛主のメンバーが彼を刺した」
「違う…」
「あなたが命令して殺したんじゃないんですか!?」
「違う!!」
取り乱したように長内は声を荒らげる。そして怯えた顔で席に着き、乱れた呼吸を繰り返す。
「………。確かに東卍と抗争はした。でも殺したのは愛美愛主(オレら)じゃない!」
「どういうこと…?」
カノは怯えきった長内に聞く。
「あれはキッカケに過ぎなかったんだ。あの後、東卍は内部抗争を始めた」
「え?」
「そして8月3日…ドラケンが死んだ。全部“アイツ”の策略だったんだ」
「“アイツ”?」
「…すまん。これ以上は話せない。東卍とは関わりたくないんだ」
「……………」
「ドラケンさえ死ななければ…オレも」
そこで長内の携帯が鳴る。
「…すいません。現場監督に怒られるんでもう行きます…」
結局長内から詳しい事は聞けないまま、三人はナオトの家に戻ってきた。
「どう思う?ナオト」
「………。わかった事は愛美愛主との抗争は火種でしかないという事。そして“誰か”が東卍の内部分裂を企み、その火種として長内は利用された」
「………!って事は」
「マイキー君とドラケン君を対立させようとしてる奴がいる?」
「なんでそんな事を…?」
「とにかく“愛美愛主”との抗争がすべてのキッカケです」
「!じゃあ東卍は愛美愛主と争っちゃダメだ!!」
「はい!」
「止めよう!タケミチくん!」
「ああ!」
ナオトは手を差し出す。
「マイキーに伝えてください」
「ああ!説得してみる」
タケミチは握手を交わした。
それを合図に鈴の音が聞こえ、カノも意識を手放した。
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