第4章 冷たい拒絶
2017年───東京。
「ここか…」
「工事現場…」
「本当にここか?ナオト」
「………。その前にボクをタクシー感覚で使うのはやめてもらっていいですか!?」
「ごめんねナオトくん。緊急事態だったの」
「は!?」
愛美愛主の長内が現在どこにいるかをナオトに調べさせ、三人は工事現場に来ていた。
「だってマイキー君とドラケン君が抗争なんて“デマ情報”教えんだもん!あの二人がモメるなんて100%ないぞ!?」
「むしろ過去では東卍vs.愛美愛主の抗争が始まろうとしてるの」
「ドラケン君が死ぬのはその抗争だ」
「……………」
「現在で愛美愛主の総長“長内”に抗争について聞けば、ドラケン君の死を止める手がかりがわかるかもしれない」
「すいません…通してもらっていいですか…?」
一人の男が申し訳なさそうに言ってきた。
「あ…ごめんなさい」
「失礼しました…っ」
「スイマセン」
慌てて道をあける。男はぺこっと頭を下げ、工事現場へと入っていった。
「でもさすが警察だよな!ナオトは。長内をすぐ見つけて」
「ホント頼りになるねナオトくんは」
「用心してくださいよ」
「遅せぇぞ長内!!」
「え?長内…?」
「何ちんたら飯食ってんだコラ!?」
「え?…あ、でも時間通りに…」
「人一倍仕事できねぇなら人一倍仕事しろ!!」
怒られていたのは先程の男だった。
「あの人が…“長内”?」
「愛美愛主の元総長だよね?随分と印象が違うというか…」
「なんかの間違いじゃねーの?ナオト」
「………。話を聞いてみましょう」
そうして長内を近くのカフェに連れて来た。
「あの…ボクに何か…?警察の方ですよね?」
「いえ!先日、事件を起こした“東京卍會”を調べてまして」
その話に長内がピクッと反応を示す。
「あなたは過去に暴走族の総長をしてましたね?」
「…………」
「2005年、愛美愛主の総長としてあなたは東京卍會と抗争していた。その時の事について───」
バン!
テーブルを強く叩き、長内は立ち上がる。驚いた二人は驚いて長内を見た。
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