第4章 冷たい拒絶
「その彼女さんを襲ったの…婚約者の元カノだったらしいの」
「!」
「お金を握らせて男達に彼女さんを襲うように命令した。それで自分のせいで恋人を自殺に追い込んだと思った彼は彼女の両親に謝りに行ったけど…許してくれなかったって」
カノトはドラケン達を見つめる。
「自分の大事な娘があんな変わり果てた姿でずっと目を覚まさないんだよ。確かに言葉は悪いけど親としては悲しすぎるよ」
「……………」
溜まっていた怒りを吐き出した夫は色んな感情を抑え込むようにキツく掌を握った。
「娘は…ずっと昏睡状態だ…。なんでだ?あんな可愛かった娘がこんな変わり果てた姿でっ」
「ううっ」
夫婦は涙を流す。それでもマイキーとドラケンは決して頭を上げなかった。
「帰ってくれ…二度と私達の前に現れないでくれ」
妻の肩を抱き、寄り添うように去って行く。
「これから愛美愛主とモメる。“不良(オレら)の世界”は不良(オレら)の中だけで片付ける。東卍(ウチ)のメンバーはみんな家族もいるし大事な人もいる」
ドラケンの言葉をマイキーは黙って聞いている。
「一般人に被害出しちゃダメだ。周りの奴泣かしちゃダメだ。下げる頭持ってなくてもいい。人を想う“心”は持て」
「…ケンチンは優しいな…。ゴメン、ケンチン。オレ、ケンチンが隣にいてくれてよかった」
カノトは地面に視線を向ける。
「…少しわかった気がする」
「!」
「ドラケンが死んで何でマイキーが変わってしまったか。なんで現在の“東卍”が極悪になっちゃったか」
「あぁ…オレもわかった気がするよ。ドラケンは“マイキーの心”だ。足りないモノを補ってる」
「早速帰ってナオトくんに報告だね。この二人に内部抗争はありえないって」
「ああ!」
「ドラケンが死ぬのは8月3日。14日後。愛美愛主との抗争だよ」
「それまでに愛美愛主を調べるぞ!」
「うん!」
二人は現代に戻る為、過去のナオトに会いに行った。
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