第37章 オレの『帰る場所』
「それはおかしいわ」
「何がおかしいんだ?」
「だって万次郎の恋人は女の子よ。その証拠に万次郎の携帯の待ち受け画像は彼女だもの」
「え?あの待ち受け変えたの海凪?」
「全くの濡れ衣だけど違う」
「じゃあ何で知ってんの?」
「ごめん…見ちゃった」
「別になんもないからいーけどさ。じゃあ待ち受け変えたのってやっぱオレか…?」
「アイツすげーイケメンだろ。学校で女子達にモテまくってんだぜ。ま、性格も顔も良いからな、アイツ」
「それが何だよ。つーかアイツ、オレが恋人だって嘘だったんじゃん。この待ち受けに映ってんのが本当のオレの彼女だろ?特にあの紫の瞳なんか硝子玉みてぇですげー綺麗…」
そこまで言いかけて、言葉を止める。
「万次郎?」
「("紫の瞳"?あれ…?確か同じ瞳の色をした奴、身近にいたような…)」
ドクンッ
「(そうだ…ついさっき見たんだ。アイツと同じ瞳をしてた。…え?つまり…どういうことだ…?)」
マイキーは目を見張り、手で口許を押さえる。それを見たドラケンは"悪ぃカノ…"と一言謝りを入れてから、衝撃の真実を二人に告げた。
「ちなみに今は男の格好してっけど、実はアイツ女だからな」
「え……?」
「女……?」
マイキーと海凪がそれぞれ違った反応を見せる。驚く二人に構わず、ドラケンは話を続けた。
「だからマイキー、アイツがお前に対して怒るのは当たり前なんだ。好きな男が他の女との浮気現場に出くわせば、誰だって裏切られたって思うだろ」
「アイツが…女…?」
「お前は『カノ』って呼んでたよ」
「!!」
『っ!苗字で呼ばないで!!』
『私を苗字で呼んだことないでしょ!?普段の呼び方すら忘れてるの!?』
「(それであんなに怒ってたのか…)」
「アイツはずっと不安がってた。海凪にマイキーを奪われるんじゃないかって。そしてマイキーの心が海凪に戻っちまうんじゃないかって」
「「!」」
「お前らの前では何でもないような顔して振舞ってたけどな、本当は凄く辛かったはずだ。でもお前らに気付かれたくなくて、ずっと我慢してたんだよ」
ドラケンは海凪に視線を向ける。
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