第37章 オレの『帰る場所』
「テメェはいつまで『そこ』にいんだ…!!」
「!!」
「そこはお前の帰る場所じゃねーだろ!!」
その言葉に何故か違和感を覚えた。
「……………」
「マイキー、お前の帰る場所はどこだ?海凪のところか?それとも…」
「オレの…『帰る場所』…」
「頼むから思い出せよ。俺は…お前らが二人でいる姿を見るのが好きなんだよ。幸せそうに笑ってんのを見るのが…好きなんだ。」
「ケンチン…」
「離れんなよ…約束しただろ?お前らはじいさんばあさんになっても死ぬまで一緒にいて、幸せに暮らすってさ。もう一度、お前らが幸せそうに笑い合ってるところ、見せてくれ…」
そうは言っても自分には記憶がないのだ。思い出そうとするも頭の中にモヤが掛かったように記憶を思い出すことを邪魔される。
マイキーは複雑な気持ちで眉を下げた。
「ケンちゃん何してるの!?」
二人の言い争う声に最初は堪えていたが、更にヒートアップする喧嘩に堪えきれず、病室の外で待っていた海凪がドアを開けるとドラケンがマイキーの胸ぐらを掴んでいることに驚いて目を見開く。
「万次郎を離して…!!」
海凪は慌てて二人を引き離す。
「二人が喧嘩なんて珍しいわね。でもそこまでにしようよ。ケンちゃんも万次郎も落ち着いて…」
「海凪。お前ここ毎日ずっとコイツの見舞いに来てるだろ」
「…それが何?」
「コイツに恋人がいるの知ってるよな?」
「知ってるけど…」
「知ってるのに恋人がいる男に毎日会いに来るのはどうかと思うぞ」
その言い方に海凪はカチンとくる。
「何それ…恋人がいるから万次郎のお見舞いに来るなって言いたいの?」
「そうは言ってねえ。ただお前らが二人一緒だとアイツが気まずくなるんだよ」
「気まずくなるって…何で?」
「マイキー、海凪、お前らがアイツを責め立てて、突き放したからだ」
「アイツ…?」
「どういう意味?」
ドラケンの言葉に二人は疑問符を浮かべる。
「宮村カノト。よく知ってんだろ?さっきまでここにいたもんな。そいつがマイキーの恋人なんだよ、正真正銘のな」
「え?アイツが万次郎の恋人…?」
海凪は驚いてマイキーを見る。
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