第37章 オレの『帰る場所』
「お前らがあそこまで喧嘩すんのは初めてだな。いつもみたいにお前がからかってアイツを怒らせたって感じもなかったし」
「……………」
「一体何があった?」
マイキーはどこか言いづらそうにしていたが、しばらくの沈黙の後、視線を横に逸らしながら言う。
「寝てる海凪に…キスしようとした」
「!?」
「それをアイツが見てて…すげえ怒って泣いて…最後には"もういい"って言われて…」
まだ話してる途中にも関わらず、ドラケンは足早に歩み寄り、ガッとマイキーの胸ぐらを鷲掴み、振り上げた拳をマイキーの頬にくらわせた。
ガッ!!
「ッ!?痛てぇな!!何すんだテメェ…!!」
「ふざけんじゃねーぞマイキーテメー!!!」
「!?」
間近で怒鳴られ、マイキーは目を見開かせる。青筋を頭に浮かばせ、激怒するドラケンはマイキーのした事を許せなかった。
「アイツがいんのに他の女にキスしようとするなんてどういうつもりだ!?テメェ自分がどんだけ最低なことしようとしたのか分かってんのか!?」
「何でケンチンがそこまで怒るんだよ!?」
「カノは俺の大事なダチでもあるからだ!!いいかマイキー!?アイツを泣かせて傷付けんのもいい加減にしろ!!」
「っ…………」
「アイツは諦めずにお前の記憶を取り戻そうとしてた!!例えお前にどんだけ鬱陶しいって嫌われてもだ!!それでもアイツはお前をずっと信じ続けてたんだよ…!!」
ドラケンの怒りは治まらない。
「それなのにお前はいつまでも間違った道に進みやがって!!テメェが誤った道に行かねぇようにアイツはずっとお前の手を繋いでたんだぞ!?何で自分から離すんだよ!?」
「さっきから何訳の分からねぇこと言ってんだ!!テメェこそいい加減にしろよ!!」
「テメェが何度も拒絶するからカノは諦めた!!もうテメェの手を繋いで引き戻す理由がねぇって分かったからだ!!」
185cmのドラケンに胸ぐらを掴み上げられれば、162cmのマイキーの体は自然と爪先立ちになる。
「いつまで掴んでんだ…離せよ」
苛立ちを浮かべたマイキーが低い声で呟き、胸ぐらを掴んでいるドラケンの腕を掴む。
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