第4章 冷たい拒絶
ガラスの向こう側で痛々しい姿の女性がベッドで眠っていた。たくさんの機械と管で繋がれ、顔や頭に治療の跡がある。
「誰?」
「パーの親友の彼女だ」
「(東卍の“パー”…って。)」
「(タケミチくんを蹴った人だよね…?)」
「頭7針縫って歯ぁ折れて左目網膜剥離。体中打撲で肋骨折れて5日間、意識戻んねーって」
「(ひでぇ…)」
「(女性になんてことを…)」
「愛美愛主にやられてこの仕打ちだ。路上に倒れていたのを通行人が見て通報したんだ」
「何しに来たんだオマエら!!」
そこに怒鳴り声でやって来たのは夫婦だ。男性は二人を指さして怒り顔でこう言った。
「娘をこんな目に遭わせてのうのうと顔出しやがって!!帰れ!!帰れ!!クズ共が!!」
「お父さん!!」
そんな夫を止めようとする妻。するとドラケンは何も言わず両手を後ろに遣り、頭を下げた。
「頭なんて下げて済むか虫ケラ!!オマエらゴミのせいで娘は死ぬところだったんだ!!!!」
「頭なんて下げんなよケンチン。オレら悪くねーし。ってか何八つ当たりしてんのこのオッサン」
「帰れ!!!虫ケラ!!!」
「ちょっと」
「あ?誰に向かって口利いてんの?」
キレるマイキーの頭をガッと掴み、ドラケンは強引に頭を下げさせる。
「申し訳ありませんでした」
「ちょっ何すんだ」
「全部オレらの責任です」
「オイ!!」
「虫ケラが頭下げて娘が治るのか!?」
「やめてください!!」
「社会のゴミが!!!クズ!!クズ!!クズ!!」
「は!?」
「黙れマイキー」
ぐっと顔をしかめ、キレるマイキーにドラケンは口を噤ませる。
「(マイキーの言う通りだ。二人は悪くねえし。)」
「…あの旦那さんの気持ち凄くわかる」
「え?」
「うちの病院にもね、いたんだよ。理不尽な理由から強姦されて絶望の末に病院の屋上から飛び降りて亡くなった女性が。」
「!」
「その人にはね、恋人がいたの。その日は…結婚式の下見に行く予定だった。でも彼女さんが男達に酷い事をされて結局婚約は破棄された」
「それで病院の屋上から…?」
カノトは頷いた。
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