第37章 オレの『帰る場所』
「オマエ…!?」
「…今、何しようとしてたんですか」
「!」
怒りでワナワナと体を震わせ、涙を潤ませたカノトが眉を吊り上げ、鋭い眼光でキッとマイキーを睨み付けている。
「海凪ちゃんに…キスしようとしてましたよね?」
「……………」
「どうして黙ってるんです…!?」
何も答えないマイキーに苛立ち、声を荒らげる。その喧しさにうんざりしたように深い溜息を漏らしたマイキーは眉を顰め、カノトを見る。
「ハァ…勝手に入って来んなよ。てか何でまだ会いに来てんの?マジでしつけぇわ、オマエ」
「っ───!!」
弁解の一つでもしてくれるのかと思えば、責められるカノト。流石に悪びれる様子もないマイキーの態度に等々我慢の限界を迎え、ツカツカと足早に歩み寄り、片手を振り上げた。
パンッ!!
手加減のない、強烈な張り手がマイキーの頬を直撃し、突然の痛みにマイキーは目を見開かせる。
「いきなり何すんだテメェ!!」
「最ッ低…!!!」
「!!」
ボロボロと涙を流すカノトを見たマイキーは驚いた顔を浮かべる。
「マイキーくんのバカ!!最低!!」
傷付けられたカノトは泣き叫び、マイキーの胸をドンッと両手で叩く。
「私がどんな想いでマイキーくんに会いに来てたか分かる!?どうせ分からないよね!?だからそんな酷い事ができるんでしょう!?」
悔しい
悔しい
悔しい───!!!
「信じてたのに!!信じてたのにぃ…!!」
「お、おい…」
「私の気持ちを簡単に踏み躙って!!そんなに彼女が好きなの!?彼女がいればマイキーくんは満足なの!?どうして私がいるのにこっちを見てくれないの…ッ!!!」
カノトの怒りの剣幕にマイキーは戸惑い、どうしていいのか分からなくなる。深く傷付いたカノトの涙は流れ続け、それを見たマイキーが弱々しい声で言う。
「そんなに泣くなよ…目が腫れちまうだろ」
「誰が泣かせてると思ってるの!?マイキーくんが私を裏切ったから悲しくて泣いてるんだよ!!傷付けて泣かせてるの!!マイキーくんの浮気者…!!」
感情が制御できず、頭がおかしくなる。
.