第37章 オレの『帰る場所』
「オレが好きなのはオマエのはずなのに…なんだろうな、この胸に残る罪悪感は…」
どこか悲しげに表情を浮かべる。
「海凪…何で兄貴なんだよ。オレの方が絶対、オマエのこと好きな自信あんのに…」
『ごめんね、万次郎…』
『アタシ、ずっと好きな人がいるの』
『だからアンタの告白は…受けられない』
申し訳なさそうに謝る海凪。マイキーは初めて恋をした人に精一杯の告白をした。でも海凪にはずっと想いを寄せている相手がいた為、マイキーの想いは儚く散ってしまった。
「オマエさえいれば、オレは──……」
ギシ…ッとベッドが深く沈む。
「……………」
マイキーの顔が、ゆっくりと眠る海凪に近付いていった───。
✤ ✤ ✤
尚登からの連絡後、実家に寄る前にマイキーのお見舞いに訪れたカノト。
「(あの人達を納得させるだけの理由…歩きながら考えたけど結局何も浮かばない。)」
本気であの人達は私を結婚させる気だ
会ったこともない、見知らぬ相手と。
とことんおじい様は私が嫌いらしい
…大丈夫、絶対に負けない
もうあの人達の呪いに縛られるもんか
私は…その呪いを必ず跳ね除ける!
「マイキーくん…会ってくれるかな」
不安で胸がいっぱいになる。二度と顔を見せるなって言われた。凍えるような眼差しを向けられた。それでもカノトは信じるしかなかった。いつか絶対にマイキーは自分を思い出してくれる。そう信じて今日もマイキーに会いに行く。
「(ふぅ…よし、行こう。)」
緊張を解すように深呼吸をして、ゆっくりとドアを開け、中に入ろうとした。
「(え……?)」
視界に飛び込んできた光景に紫色の瞳を大きく見開かせる。
「な…に…してる…の…」
驚きの余り言葉が上手く出ない。カノトが見たのは、眠る海凪に顔を近付け、キスをしようとしているマイキーの姿だった。
「っ、何してるの───ッッ!!?」
「!!?」
「早く離れて…!!!」
あと数cmで触れ合う唇が重なる前にカノトは声を張り上げて叫んだ。その声にビクッと体を跳ねさせたマイキーは咄嗟に海凪と距離を取り、焦った様子で顔をドアの方に向ける。
.