第35章 壊れた愛の絆
「何度傷付けられても…絶対に挫けない」
「何でそこまで…」
「だって好きなんだもん」
「……………」
その言葉にマイキーはまた顔をしかめた。
「マイキーくん」
「…なんだよ」
「僕と交わした約束、覚えてますか」
「は?覚えてるわけねーだろ。オマエの事だって忘れてんのに。またそうやってオレの気を引こうとしてんの?」
「覚えてないならいいです。じゃあもう帰ります。今日は冷えるそうなので暖かくして寝てください」
顔を見ずにペコッと頭を下げ、病室を出る。カノトが帰った後、マイキーは短い溜息を洩らした。
「はぁ…怒り過ぎて疲れた。ほんと何なんだよアイツ。けど…ずっと傷付いた顔してたな…」
マイキーが言い過ぎたかも…と反省の色を見せた時、脳裏に一つの光景が甦る。
『愛してる、カノ。オマエの愛で狂っちまうくらい、オレはオマエのことが好きで好きで堪らない』
「!!」
それは愛おしげに誰かに愛の言葉を捧げている自分の姿だった。マイキーは驚いた顔で目を見開く。
「何だ今の…?それに"カノ"って確か…」
『ほらマイキー、カノだぞ』
「本当にオレがあいつを…?」
『マイキーくんは僕のことが大好きで大好きで仕方がなかったんです』
「……………」
『マイキーくん、大好き』
今度は嬉しそうに笑うカノトの顔が自分の知らない記憶の中で過ぎった。
「!」
ふと視線を床に向けると、先程カノトが立っていた場所にパズル型のネックレスが落ちていた。
「何でこんなとこに…」
ベッドから下りてそれを拾い上げる。
「ピンクゴールド…オレの髪と同じ。なんか文字刻まれてるけど全然読めねぇ…。アイツが落としていったのか?」
きっと出ていく時に落ちたのだろう。マイキーはチェーンの切れたネックレスをじっと見つめた後、大きな溜息を吐いた。
「こんなの拾っちまったら捨てる訳にもいかねぇし…失くしたって気づいたら多分アイツ困るよな…」
小さく舌打ちしたマイキーはネックレスを届ける為、カノトを追いかける為に病室を飛び出した。
.