第35章 壊れた愛の絆
「お前はマイキーが誤った道に進まねぇようにずっと手を繋いできた。でも今はマイキーから放しちまってる。だからもっかいその手を繋ぎ直せ。"そっちじゃない、こっちだ"ってアイツに教えてやれ」
「はい。ふふ、ありがとうございますドラケンくん。ドラケンくんの力強い言葉でもう一回、頑張れそうな気がします」
「おう、頑張れよ。まぁもし、アイツがお前を泣かせたら俺が代わりに殴ってやる。その時に記憶も一緒に戻ったりしてな」
元気づけようとしてくれるドラケンの優しさにカノトは心が温かくなり笑う。
「そうだコレ、マイキーの着替え。とりあえず五日分入ってるから渡しといてくれ」
コンビニの袋とは別の大きめの紙袋を渡される。
「まだ退院できないんですか?」
「脳に損傷はねーけど、一応まだ様子見。本人は至って健康そうだったのにな」
「…そうなんですね。ドラケンくんは今日はお見舞いに行かないんですか?」
「店の手伝いがあってよ。今日はお前に任せるわ。明日は顔出すってマイキーに伝えといてくれ」
「わかりました。伝えておきます。お店の手伝い、頑張ってください」
「ありがとな。お前も頑張れよ」
「はい」
ニッと笑ったドラケンに背中を押され、カノトは武蔵野神社を後にした。
✤ ✤ ✤
ドラケンから貰ったサンドイッチを歩きながら頬張り、懐かしい匂いのする病院へと到着する。
「(よし、頑張ろう!)」
マイキーの病室の前で気合いを入れ、ドアノブに手を掛けガチャッと開けた。
「こ、こんにちは!」
緊張で声が裏返った。
「オマエ…何しに来たの?」
突然開いたドアの音とカノトの声に驚いたマイキーが驚いてこちらを見る。
「(う…嫌そうな顔。でもめげない!)」
「つーか急に入って来ンな。後もう少しドア静かに開けろ。お前の声もうるせぇ。そんなことも分かんねーの?」
「それは…すみませんでした」
「で?何でここにいんの?」
眉を顰めたマイキーの不機嫌そうな顔に早くも心が折れそうになる。それでも無理やり笑顔を作った。
.