第35章 壊れた愛の絆
「ドラケンくんに頼まれて着替えを持って来ました。あれから調子はどうですか?」
「別にオマエが気にする程でもねぇよ。着替え、そこの棚の上にでも置いといて」
目を合わせずマイキーは素っ気なく言う。ベッドの横にある棚の上に着替えが入った紙袋を置いた。
「明日ドラケンくんがお見舞いに来るそうです。今日はお店の手伝いで来られないって言ってました」
「ふーん」
「それとココアがあるんです。良かったら一緒に飲みませんか?」
「いらない」
コンビニの袋からココアを出そうとした手がマイキーの冷たい一言でピタッと止まる。
「甘くて美味しいですよ」
「いらねぇっつってんじゃん。そんなに喉渇いてねーんだよ。飲みたかったらオマエが飲めば?」
笑顔を崩しそうになる。
「(私のこと嫌いって感じだな…)」
突き放そうとするマイキーに悲しくなったが平常心を装い、困った顔で笑う。
「実はドラケンくんから二つ貰ったんです。マイキーくんと一緒にどうぞって。僕は一つ貰うのでもう一つはマイキーくんが貰ってください」
「あのさ、オレいらねーって言ったよな?オマエと一緒に飲んで何が楽しいんだよ。ケンチンには悪ぃけどオマエが持って帰って」
「ドラケンくんがお金払ったので二つも頂けません。せっかく買ってくれたんですから喉が渇いた時にでも飲んでください」
震える手でコト…ッと缶のココアをマイキーの前のテーブルに置く。
「はぁ…マジでしつけぇな」
「(しつこくて悪かったですね。)」
険しい表情でうんざりするように溜息を吐いたマイキーの態度にイラッとした。
「(ここまで冷たく拒絶されたのは初めてだな。笑ってないと…泣きそうになる。)」
「なぁ」
「はい?」
「昨日も今日もオマエに酷い言葉ぶつけて冷たく突き放してんのに、何でまだオレに会いに来んの?」
マイキーが不機嫌そうな顔で聞いた。
「けっこー傷付ける事言ってるだろ、オレ。なのにオマエはニコニコ笑って話しかけてくるし。マジでなんなの?」
「…貴方の恋人ですよ」
「聞き飽きた」
苛立ったようにマイキーは顔を背ける。
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