第33章 すれ違い、こじれ始める。
「碓氷さんって、マイキーくんの初恋の人なんですよね?」
「!」
「だから彼女の肩ばかり持つんですか?」
「オマエ…それどこで知って…」
マイキーは驚いて目を丸くさせる。
「本当はまだ碓氷さんのことが好きなんじゃないですか?」
「は?そんなわけねぇだろ。確かに海凪はオレの初恋だった。けど今はもうオマエ一筋なんだよ。知ってんだろ?」
「今日…どうして彼女と二人でこのお店に来たんですか?」
「それは海凪がこの店のケーキ食いたいって言うから案内してやったんだよ」
「僕には男と二人で出掛けるなって言っておいて自分は女の子と二人で出掛けるんですね」
「あ…?」
「マイキーくんの浮気者」
キッと潤んだ瞳で睨めば、マイキーの目がスッと冷たくなった。
「…本気でオレが海凪をまだ好きだって思ってんのか?」
低くなった声にビクッと体が跳ねる。
「こんだけオマエのことが好きだって、愛してるってずっと言ってんのに、何で信じてくんねえわけ?」
「……………」
「オレが信用できねーの?」
「(すごく怒ってる…。まるで総長としてのマイキーくんを相手にしてるよう。)」
「オマエは海凪がオレの初恋の女だって聞いて不安だったんだよな?だからアイツに嫉妬したんだろ?」
「まいきーく…」
「でもアイツはオレのことなんか一切好きでも何でもねえんだよ」
「何でそう言い切れるんですか」
「アイツは昔から───……」
そこまで言って言葉を止める。何かを言いかけたが数秒の間を置いて話を続けた。
「なぁカノ、オレはオマエが好きだよ」
「!」
「それは信じてくれるよな?」
「はい…」
「ならオレがオマエにベタ惚れで、他の女に興味がないことも…信じてくれるよな…?」
「……………」
「そこは…返事しねぇんだな。やっぱり海凪か?アイツの存在がチラついてんのか?」
何も答えず、不安そうに目を伏せるカノトに苛立ったマイキーがガシガシと頭を掻き、大きな溜息を零す。
「はぁ……もういい。」
「え?」
「そんなにオレが信じらんねーならもう知らねえよ」
「…………っ」
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