第33章 すれ違い、こじれ始める。
「…勝手に頼んだのは彼女じゃないですか」
「は?オマエ何言ってんだ。海凪は三人で食おうと思ってわざわざ頼んでくれたんだぞ。それを自分は悪くねぇみたいな言い方すんなよ」
「(何で…怒るの?)」
「今のオマエ、すげー感じ悪ぃ」
「っ!!僕は食べたいなんて言ってないッ!!」
海凪の肩ばかり持つマイキーに怒りと悲しさが交ざった感情が込み上げ、尚且つ、呆れ返るように吐いた言葉にショックを受け、涙が溢れそうになる。
「カノ…いい加減にしねぇと怒るぞ」
「元はと言えば碓氷さんが…!」
「海凪がオマエになんか言ったのか?」
「そうね。アタシが悪いわ。アンタが怒るのも無理ない。パンケーキも勝手に頼んでごめんなさいね。余計なお世話だったみたい」
「パンケーキに関してはオマエは悪くねえだろ。カノがひっくり返したんだから。自分のせいでもないのに謝んなよ」
「(完全に私が悪者か…)」
「カノも海凪を怒らせるようなこと言ったんだろ。オマエだけが悪いわけじゃねえ」
「(何それ…)」
マイキーにそんなことを言われると思ってなかったのか、カノトは驚いて目を見張る。
「…そうやって彼女の味方ばっか」
「は?」
「(もういい。)」
悔しくなって財布からお札と小銭を出してテーブルに置く。
「パンケーキ台無しにしてすみませんでした。これ、そのお金です。飲み物とケーキのお金もお返しします。足りなかったら後日お支払いします。本当にすみませんでした」
「どこ行く気だ?」
「帰ります。僕がいると余計に空気が悪くなるので。それにお邪魔みたいですから」
「は?おい!待てって!カノ!」
後ろからマイキーの呼び止める声が聞こえるが無視して足早にテラスを出た。
「(…泣くな。泣いちゃダメだ。せめて家に着いてから自分の部屋で泣かないと。)」
マイキーくんが海凪ちゃんを庇うのが許せなかった
私より彼女を気にかけたのが悲しかった
あんなに本気で怒られたのは何時ぶりだろう
確か…倉庫でマイキーくんに拒絶されて以来だ
あの時もそうだったけど
怒ったマイキーくんの目が冷たかった
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