第33章 すれ違い、こじれ始める。

「僕はマイキーくんの幸せを壊しません。彼の幸せを守るために一緒にいます」



「…アンタが万次郎の幸せを守る？」



「碓氷さんは僕をマイキーくんの幸せを壊す存在だと言いました。では碓氷さんはどうなんですか？」



「どういう意味？」



「碓氷さんこそ自分がマイキーくんの幸せを壊すかもしれないと思ったことはありませんか？」



「！」



「僕は思いましたよ。貴女こそがマイキーくんの幸せを壊す存在なんじゃないかって」



「…何ですって？」



海凪は険しい表情を浮かべてカノトを睨む。だが勝手なことばかり言う海凪の言葉に腹を立てていたカノトも鋭く睨む海凪の視線を跳ね返し、睨み返す。



「貴女の存在がマイキーくんとその恋人の仲をこじれさせて悪化させる。だから碓氷さんだってマイキーくんの幸せを壊す可能性があるんですよ」



あぁ…私、性格が悪いな



ムキになって



酷い言葉で彼女を傷付けてる



マイキーくんを海凪ちゃんに盗られるかもしれないって思ったら



嫉妬と不安と悔しさが溢れ出して



感情的になっちゃってる



「マイキーくんとあまり仲良くしないでください。彼を想う彼女のためにも」



「……………」



「(お願い…私からマイキーくんを奪わないで。あの人の嬉しそうな顔を返して。マイキーくんの全部は…私だけのものなの。)」



「悪いけど…その頼みは聞けない」



「っ、どうしてですか」



「小さい頃から家族のように一緒に育った。万次郎はアタシにとって大切な人なの。だからアンタの"あまり仲良くしないでほしい"って言う頼みは聞けないわ」



「(大切な人…)」



それを聞いただけで苛立ちが浮かんだ。悔しくて掌をギュッと握りしめる。



「ダメ…盗らないで」



「え？」



「マイキーくんを…奪わないでください」



「奪うって何？アタシは別にその恋人から万次郎を奪う気なんかない。というかアンタに言われたくないわ」



海凪は怒ったような冷たい目を宿す。



「アンタが万次郎を恋人から奪おうとしてるんじゃないの？」



「っ違う!!奪おうとなんかしてない!!だってマイキーくんが好きなのは───!!」



ガシャン!!



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