第33章 すれ違い、こじれ始める。
「万次郎、早くどれにするか決めて」
「ショートケーキ」
「分かった。飲み物はどうする?」
「じゃあ僕はオレンジジュースで」
「オレ、メロンソーダね」
「注文しておくから先に行ってて」
「僕も一緒に待ちますよ」
「いい。アタシが奢るんだからアンタは万次郎と一緒にテラスに行ってて」
「分かりました」
注文を海凪に任せ、二人は先にテラス席へと移動した。
✤ ✤ ✤
「もうマイキーくん、信じられないです。さっきのアレ、どういうつもりですか」
「カノがオレを拒否った仕返し。離れようとしたから少し意地悪しちゃった♥」
「意地悪が過ぎます…。それと碓氷さんにあんな紹介の仕方しないでください。恥ずかしくて逃げ出したくなりました」
「本当のことだろ。オレが溺愛する彼女はめちゃくちゃ可愛いんだよ。な?カノ。」
こちらを見てニコリと微笑む。
「オマエはオレの可愛い彼女だもんな♥」
「彼女にバレたらどうするつもりですか。さっきも碓氷さんに私が彼女だって言いかけたでしょう…」
「別に良くねえ?バレたらバレたで海凪の前でも好きな時にイチャつけんじゃん」
「マイキーくんは人前でも平気で抱き着きますよね」
「だって抱き着きたいと思ったら抱き着きてえんだもん。オレ、人前とか気にしないタイプだから♪」
「私は気にするんですよ!」
「つーかオレまだ怒ってんだけど?」
「…いい加減機嫌直してくださいよ」
「直んねー。すげぇショックだったんだぞ。オマエに離れてって言われて拒絶されたの」
「あれは碓氷さんが疑い始めたから…」
「……………」
「どうしたら…機嫌直してくれますか?」
「!」
困った顔で言うとマイキーは"その言葉を待ってました!"と言わんばかりの表情を浮かべた。
「ちゅーしてくれたら機嫌直す♪」
「は!?ここで!?」
「カノからキスして」
「む、無理無理!絶対バレる!」
「メニュー表で隠すから!」
「えぇ…周りの人達に怪しまれますよ」
「なぁお願い!」
駄々を捏ね始めたマイキーはどうしてもカノトとキスがしたいようで必死に頼み込む。
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