第33章 すれ違い、こじれ始める。
「海凪、言い方。ゴメンなカノ。コイツ取っ付き難くて言葉もキツいかもしんねーけど決して悪い奴じゃねーんだ」
「アタシは普通に言っただけよ」
「オマエなぁ…」
「(あぁダメだ…モヤモヤする。この苛立ちはさっき収まったはずなのに。というか…私が男と二人で遊ぶのはダメだって言ったくせに…マイキーくんだって海凪ちゃんと二人で出掛けてるじゃない…。)」
気付けば眉間に皺が寄っている。それを見た海凪が誤解し、彼女も不快そうに顔をしかめた。
「何?そんなにアタシに奢られるのがイヤなの?」
「え?」
「それともアタシの言葉が気に障った?」
「あ、ち…違うんです!碓氷さんに対してじゃないというか…その…誤解を与えてしまって…すみません…」
自分じゃ気付かなかったが海凪に不快な思いをさせたとして慌てて頭を下げる。
「オマエら喧嘩すんな。あと海凪、さっきからオマエの言い方がキツい。コイツが恐縮してんだろ。それにカノも、海凪の言う通り、顔がしかめっ面になってた。それじゃあコイツが誤解する」
二人の険悪なムードを珍しくマイキーが真剣な表情で少し怒った口調で咎める。
「すみません…」
「…ごめんなさい」
謝罪するも、海凪は顔を背け、カノトは顔を伏せ、お互いに目は合わなかった。
「じゃあ碓氷さん、ご馳走になります」
「好きなの選んでいいわよ」
「カノどれにする?好きなケーキなに?」
「何だと思います?」
「ショートケーキとか?」
「ハズレです」
「チーズケーキ?」
「残念」
「じゃあモンブラン!」
マイキーは最後ヤケクソになって答える。
「モンブランも美味しいですよね。でも僕、コンビニのスイーツとかもそうですけど新作に弱いんですよ」
「へぇーならこのケーキがいんじゃね?『木苺とブルーベリーのケーキ』だって。新作って書いてあるし」
「ホントだ。凄く美味しそう」
ショーケースを指差しながらマイキーは無意識にカノトの方に体を寄せる。カノトも気にせず、マイキーとの会話を続けた。
「あ!こっちのも美味そう!」
「季節限定って書いてありますよ」
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