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BRAVE You’re HERO【東リべ】

第33章 すれ違い、こじれ始める。



あの後すぐに家に帰ってきたカノトは履いているスカートを脱ぎ捨て、デーパードと呼ばれるパンツに履き替え、上着を羽織った。



「(胸糞悪い。昔と変わらず最低な家。燃やしてやりたい。)」



携帯と財布だけ持ち、苛立ちが収まらないまま、部屋を出る。



「(絶対に結婚なんてするもんか。どうにかして阻止する方法を考えないと。)」



「カノ?出掛けるのか?」



「うん、ちょっと気晴らしに。さっきはありがとね兄さん。私の代わりに怒ってくれて」



「守るって言っただろ。それにあのクソじじい…お前の結婚相手を探すとか何とかほざいてやがったな」



「まるで本人の意向を無視した政略結婚だ。仮に相手側の男が快く承諾しても、私は死んでも御免だよ。彼以外と未来を歩むなんて」



「俺だってお前をどこの馬の骨とも分からねえ野郎と結婚させる気はねえよ。どうにかしてあのクソじじい共の企みをぶち壊されねえとな」



「(…簡単にはいかないと思うけど早急に手を打たないと本当にまずいことになる。)」



「なぁ…お前があそこで佐野の名前を出さなかったのは、あいつを俺達の家の事情に巻き込まない為だったんだろ?」



「うん。マイキーくんは優しい人だから私が助けを求めたら必ず助けてくれると思う。でも…おじい様に歯向かえば、マイキーくんだってタダじゃ済まされない」



「あのじじいは自分に楯突く奴を許さない。それで今まで何人もの奴が"消された"。アイツらがその後どうなったのかは知らない。ただそれで思い知らされたのは…あのじじいに逆らうと命が危うくなるって事だ」



「……………」



「いくら"無敵のマイキー"でもアイツらを相手にすんのはちょっとキツいと思うぜ」



「でも私は負けないよ」



スニーカーの靴紐を結んで立ち上がる。



「必ずあの人達の企みをぶち壊す。二度と自由を奪われない為にも戦ってやる」



「その時は俺も一緒に戦う。お前一人だけで戦わせねえ。一人より二人の方が心強いだろ?」



「うん!」



「暗くなる前に帰って来いよ」



「行ってきます!」



マドカに見送られ家を出たカノトは、溜まった鬱憤を晴らす為に街へと繰り出した。



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