第33章 すれ違い、こじれ始める。
マジでふざけんなクソじじい
何がとことん意地悪してやるだ
こんなの悪質ないじめだろ
だから大嫌いなんだよ
「心に決めた相手は…」
その瞬間、マイキーの顔が思い浮かぶ。
『オレはオマエが幸せになんねぇ世界があるなら、何としても変えてやりたい。例えその代償としてオレの何かが失われても。オレはずっとオマエの幸せを願っていたいんだ』
『愛してる、カノ。オマエの愛で狂っちまうくらい、オレはオマエのことが好きで好きで堪らない』
『この先もずっと、オレが愛す女はオマエだけだ。だから…オレをオマエの傍にいさせてくれ。オマエを…最後まで愛し抜くと誓うから』
世界で一番大切な人
私を誰よりも愛してくれる人
たくさん色んな思い出をくれる人
ずっと私の傍にいると誓ってくれた人
左手の薬指に『約束』をくれた人
私が…絶対に失いたくない人
「(だから…許してね、マイキーくん。)」
カノトは真っ直ぐな目を尚登に向けた。
「心に決めた相手はいません。」
「!カノ……」
「(これでいい。マイキーくんをコイツらに会わせるわけにはいかない。迂闊に話して"興味を持たせてはいけない"。マイキーくんを…コイツらから守らなきゃ。)」
「……………」
マドカはハッキリと口で否定したカノトの表情が悲しげに沈んでいるのに気付いていた。
「そうか!なら良かった!お前のような弱音ばかり吐く甘ったれを好きになる男がいるとも思えん!いやはや安心した!」
「(っ…嘘でも言いたくなかった。"心に決めた相手はいない"なんて。本当はずっと大好きな人がいるのに…!!)」
悲しさと悔しさが交ざった顔で唇を噛みしめる。
「儂が選ぶ男もお前を好きになるとは限らんが、まぁ構わんだろう。徐々に愛を育めばいい。これはお前の為だ。なぁ…心叶よ」
カノトは静かに尚登をキッと睨んだ。
「どこまで歪んでんだクソじじい…」
「二人とも良い顔をしているな!儂が憎くて堪らないと言った顔だ!うむ!気分が良い!」
尚登は残酷に笑う。
「お前は儂が選んだ男と結婚してもらう」
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