第33章 すれ違い、こじれ始める。
「結婚相手って…どういうことですか!?」
「言葉の通りだ。将来お前の伴侶となる、宮村家に相応しい相手を儂が探してやる」
「ふ…ふざけないで!!何を勝手に…!!」
「巫山戯てなどいない。儂は本気だ。それとも…何か不満でもあるのか?」
「あるに決まってんでしょ!?何で貴方が私の恋をどうこうする必要があるの!?勝手に探されても迷惑なんだよ!!」
怒りの余り声を荒らげてしまう。
「心叶、おじい様に向かって何だその口の利き方は。お前は女だろう。言葉を慎みなさい」
「慎まないよ!!何でおじい様が私の結婚相手を決めるの!?絶対に嫌だから…!!」
「前から決めていたことだ。本当は高校を卒業するまで待つつもりだったが…今のうちに籍を入れても大丈夫だろうという結論に至ってな」
「ちょっと待て!!コイツはまだ14なんだぞ!?結婚なんて早すぎるだろ!!」
「14だから結婚相手がいたらダメなのか?」
「そういう問題じゃねえ!!」
「ではどういう問題だ?」
「好きでもない相手と結婚させられるコイツの身にもなりやがれ!!」
「一緒に過ごす内に好きになるかも知れんだろう」
「そんなのは死んでもありえねえよ」
「…それは聞き捨てならん言葉だな。もしや…お前には既に心を決めた相手でもいるのか?心叶よ」
尚登の探るような鋭い目が突き刺さる。
「(ここでマイキーくんの名前を出せば、コイツらは必ずマイキーくんを探し出す。そうなれば彼に迷惑がかかる。家の事情にマイキーくんを巻き込んでしまう。それだけは絶対にダメだ。)」
「もしお前に恋人がいるなら儂はすぐに其奴に話を聞かねばならん。そして見極めなければならん。その男が…宮村家に相応しい人間かどうかをな」
「(きっとコイツらはマイキーくんを快く思わない。不良で、しかも暴走族の総長だと知ったら…絶対に別れさせられる。ううん、それだけじゃない。今後私に近寄らせないようにマイキーくんに何がするかもしれない。)」
「心叶、黙ってないで早く答えなさい」
「(うるさいな。貴方はいつも私を急かす。考える時間くらいちょうだいよ…!)」
零夜の声に煩わしさを覚えた。
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