第3章 ふたりを繋ぐ証
「カノ、早く着替えさせて」
「む、無理です!」
「は?何で?」
「(目のやり場に困るからです…!!)」
「カノが着替えさせてくれなきゃオレここから動かないから」
「またそういう意地悪を…」
「それにさ…ずっと試着室に入ってると店員が不審がってカーテン開けられるかもよ?」
「!」
「男二人が一緒の試着室に入ってたら、どう思われるんだろうな?気味悪がられるか…それとも…」
マイキーが耳元に口を寄せ、笑う。
「いかがわしいことでもしてたんじゃないかって…疑われるかもネ♥」
「っ〜〜〜!」
囁かれた声にぞわぞわと身を震わせた。
「マイキーくん…」
「そんな上目遣いで睨んだって怖くないよ」
「わざとですよね?」
「オマエが可愛い反応するからじゃん」
「男に可愛いとか言わないでください…」
「で…着替え、手伝ってくれる気になった?」
「逃げ道を塞がれた気分です」
むすーと顔をしかめながらマイキーの着替えを手伝うことにした。その間もマイキーは恥ずかしがるカノをからかい、それにカノが声を控えめにして怒ると、マイキーは嬉しそうに笑った。
「アメカジ系とサロン系、どっちとも買っちゃいましたね」
「うん」
「でもマイキーくん。本当にどちらも似合ってました。かっこよかったです」
「オマエが選んでくれたからね。オレに似合わないはずないじゃん」
「(相変わらず凄い自信。)」
ふふっと笑ってしまう。
「なぁカノ…」
「はい?」
「もしオレがさ…悪い道に進もうとしたら、叱ってくれる?」
「え?」
店を出たマイキーが立ち止まり、表情を沈ませてそんなことを言った。
「オレが自分自身で制御できなかったり、周りの声も聞こえず暴走しちゃったり、オレがオレを壊そうとしたら…ダメだよって、オレを叱ってくれる…?」
「(マイキーくんが闇堕ちした理由…何がきっかけであんな未来になってしまったのかは分からない。もし私が彼の闇堕ちを防ぐことができるなら…彼を…“正しい道”に引き戻すことができるのなら…)」
カノトは真っ直ぐにマイキーを見た。
.