第33章 すれ違い、こじれ始める。
「そろそろ温泉旅行の日程を決め…」
《マイキー!ハートの3持ってるでしょ!》
「!」
《持ってねーし。つーかエマこそダイヤの8早く出せよ!いつまで隠し持ってんだ!》
「(エマちゃんの声?)」
《ウチ持ってないし!変な言いがかりはやめてよね!》
《じゃあ海凪が持ってんだな。》
「(え?海凪ちゃん?)」
てっきりエマだけかと思えば、マイキーの口から飛び出た名前に戸惑いの表情が浮かぶ。
《アタシが持ってるのはクラブの9よ。それよりクローバーの3は誰が止めてるの?エマ?万次郎?さっさと出してよ。》
《あ、それはオレ。》
《じゃあ早く出して。》
《海凪を一番に上がらせたくねぇの!オレが一番に上がんだから!》
三人の賑やかな声が電話の向こう側から聞こえるもカノトはマイキーが海凪と一緒にいることに驚きを隠せず、唖然としている。
「…碓氷さんもいるんですか?」
《おー。実は走りに行った後、海凪がエマに会いてぇっつーからウチに来てる。そんで今3人でオレの部屋で七並べやってんだよ。》
「(呑気に七並べなんてしないでよ…どうして簡単に彼女を部屋に入れるの?エマちゃんは兄妹だからまだ良いけど、海凪ちゃんがマイキーくんの部屋にいるのは面白くない…)」
心がざわつき始め、苛立ちが込み上げた。
「へぇ…随分楽しそうですね」
《久しぶりにやったら意外とハマっちゃってさー。七並べとか小学生ぶりにやったわ。》
「……………」
《あ!海凪!何でそっち出すんだよ!オレがまた出せなくてパスする羽目になるじゃん!》
《万次郎だってアタシが出したいところの数字のカード止めてるじゃない。お互い様よ。》
《ハイハイ!もう喧嘩しないで二人とも!》
言い合う二人をエマが仲裁する。
「(今電話してるの私なのに。何で他のことに意識がいっちゃうの?もしかして…海凪ちゃんと話すのが楽しいの?)」
《っと…悪いカノ。うるさかったよな。てか聞いて。海凪がトランプ系めっちゃ強えんだよ。さっきも神経衰弱でコイツが1抜けしてさ〜。まじで勝てねーの。》
全く敵わない海凪の強さにマイキーは溜息を吐く。
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