第32章 好きな人の初恋の人

「遅れてすみません！」



「おーカノ」



「やっと来たな」



「カノ遅せぇ！」



ドラケンと三ツ谷に笑って言われ、待ちくたびれたマイキーにはむっと顔をしかめられる。



「来る途中、道路工事に行く手を阻まれまして、遠回りしたところ迷子になり、親切な方にここまで案内してもらってたんです」



「そりゃ災難だったな」



「だからオレが迎えに行くって言ったじゃん」



「それは申し訳ないなって」



「またそうやって遠慮する！」



「まぁマイキーはマジで待ちくたびれて何回も迎えに行くって言って利かなかったもんな」



「待ってれば来るって言ってんのに」



「遅かったら何かあったのかって心配するだろ！来る途中で事故にあったとか怪しい奴に連れて行かれたとか色々思うじゃん！」



「途中で電話すれば良かったですね」



「でも誘って平気だったか？用事あったんだろ？無理して俺らを優先しなくていいんだからな？」



「いえ、用事は終わったところです。後は家に帰ろうとしてただけなので誘ってもらえて良かったです」



「マイキーがカノ誘うってうるせぇから。もしコイツに用事あったらどうしてたんだよ？」



「用事あったらあったで諦めてたし。でもカノなら来てくれるって思ってた♪」



マイキーはぎゅっとカノトを抱きしめる。



「人前でイチャイチャすんなー」



「俺らがいてもお構い無しかよ」



ドラケンと三ツ谷が呆れたように言う。



「ま、マイキーくん！離して…！」



「やーだ♥」



嬉しそうにマイキーはぎゅぅぅっとカノトを抱きしめる腕に力を込める。



その時───………



「万次郎……？」



その声にマイキーは驚いて目を見開いた。バッと顔を上げ、神社の鳥居を見ると落し物を届けに階段を登って来た海凪がいた。



「っ………海凪……？」



「(え？)」



マイキーが彼女の名前を呼んだ事にカノトも驚いた。するとドラケンも三ツ谷もマイキーと同様にまるで幽霊でも見たかのような驚いた表情で海凪を見ている。



「お前…海凪か…？」



「ケンちゃん…」



「嘘…だろ…本当に…海凪…なのか？」



「…タカちゃん」



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