第32章 好きな人の初恋の人
「人のモンに手を出すなってキツく牽制したんだよ。あまりにもオマエのことしか見えてなかったみたいだからさ」
「(悠生くんのことだろうな…)」
「でもそっか。オマエへの想いを伝えただけなのに優勝しちゃったか」
「とても素敵でしたよ。あの場で聞いた私でさえ感動して涙が止まらなかったですもん」
「そりゃあ、カノが自分で思ってる以上にオレはオマエを愛してますから。それにオレが一番カノのこと愛してる自信あるし」
「ふふっ」
「えー?今の笑うとこー?」
「嬉しくて笑っちゃうんです!」
「ならいいや。オマエが嬉しいとオレも嬉しいから。んで…その温泉だけど、部屋に露天風呂付いてる?」
キリッとした真剣な表情で聞いてきたマイキーには呆れたが、敢えてスルーした。
「ありますよ。外の景色を見ながら温泉に浸かれるのって良いですよね。あと料理も絶品で部屋に運んでもらえるらしいです」
「カノと混浴…料理はあーんされ放題…しかも泊まり…」
「(独り言が大きいんだよなぁ。)」
温泉に泊まれると聞き、二人きりで過ごせると分かった途端、マイキーの目がキラキラと輝き出す。
「何それすげぇ最高じゃん。それに可愛い彼女がせっかく誘ってくれてんのに行かないって言う選択肢はない!」
「それじゃあ…」
「いいよ、行こう!温泉デート!」
「はい!」
「優勝して良かった〜♪」
マイキーはニコニコと笑う。
「美味いもん食って、一緒に風呂入って、部屋でイチャイチャして、寝る時は同じ布団で手繋いで寝るだろ?それと…」
「(あ、一緒に入るのは既に決定なんだ。)」
「オレとらぶらぶする!」
「…魂胆が見え見えですよ」
「じゃあ素直にえっちするって言えばいい?」
「わざわざ口に出して言わないでください!」
「あー照れてる〜♥」
「照れてません!」
「なぁなぁ!いつにする?」
「そうですねぇ…」
「早く温泉デートしたい!」
「まだ期限もあるので、これから二人でゆっくり考えましょうか」
「賛成!すげぇ楽しみだな!」
「私も楽しみです」
二人はおでこを突き合わせながら、幸せそうに笑いあった。
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