第3章 ふたりを繋ぐ証
翌朝───。
「ん…んん〜…」
気持ち良く寝ていたところに携帯の着信音が流れ、枕元の側に置いてあった携帯に手を伸ばし、寝ぼけ眼で通話ボタンを押した。
「…ふぁい」
《もしかして寝てた?》
「…んー…」
《カノー?》
「…おきてるよぉ」
《なにその声、いつもと違ってすげー可愛い。》
「…………?」
てっきりタケミチからかと思って相手を確認しないまま出たが…明らかに声が違った。それにタケミチはカノトにそんな言葉は言わない。
一旦携帯を離し、画面を確認する。
「え!?マイキーくん!?」
一瞬で目が覚めた。
《そうだけど。まさか他の男と間違えた?》
「え…いえ!全然…!」
《オレの声忘れたとか言わないよね?》
「(何故かマイキーくんがにっこり笑ってる気がする…。)」
慌ててベッドから飛び起き、正座しながら電話の向こうで黒い笑みを浮かべているマイキーを想像した。
「すみません…寝ぼけてました」
《寝起きいっつもそんな感じなの?》
「……はい。」
《ふにゃふにゃした喋り方もいいな。一瞬、女みたいな声だったからかけ間違えたのかと思った。》
「あ…あはは」
ほんと鋭い…
「ところでどうしました?」
《今日ヒマ?》
「特に予定はないです」
《じゃ、遊びに行こ。》
「遊びに?」
《オマエと花火見た日さ、オレの服選んでくれるって約束したの覚えてる?》
「もちろんです」
《隣町にデケーショッピングモールあるからそこでオマエがオレに似合いそうな服選んでよ。》
「僕のセンスに任せていいんですか?」
《オレはオマエに選んでほしーの。》
「はい…わかりました」
《じゃあ迎えに行くからオマエん家教えて。》
「ショッピングモールで待ち合わせでもいいですよ?」
《やだ。》
「即答ですね」
《少しでも長くオマエと一緒にいたいじゃん。》
「!」
《だから迎えに行く。》
そこまで言われたら…とカノトは家の住所を教えた。“準備できたら下に降りてきて”と言われ、慌ててベッドから飛び下り、支度を始めるのだった。
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