第3章 ふたりを繋ぐ証
“あんまり怖いこと言わないでください”
“だってカノに会えねーし、からかうしかないじゃん。”
「いやどういうこと?」
意味が分からず、思わずツッコんでしまう。
“最初から考えれば電話の方が良かったのでは…?”
“それは無理。”
“どうしてですか?”
“…声聞いたら会いたくなんじゃん。”
「!」
“でもオマエを一人で出歩かせんの心配だし、メールで我慢しよって思った。”
“心配って…僕、男ですよ?女の子なら確かに夜道を一人で出歩くのは危険ですけど…”
“…カノってほんとバカ。”
「いきなり貶された!?」
“男とか女とか関係ない。オマエが男でも襲われる可能性あるだろ。美人顔なんだからさ。”
「何でここまで心配してくれるんだろ…」
“だからオレが迎えに行く時以外は絶対に夜遅くに一人で出歩かないこと。”
“わかりました。”
“これも約束な?”
“はい!”
“じゃあまた明日。おやすみ、カノ。”
“おやすみなさい、マイキーくん”
そこでメールは終えた。
「…別に女だってことは隠してるつもりじゃないんだけど、さ。」
“女だからと甘く見てもらえると思うな”
“女だから優しくしてもらえるとでも?”
“これだから女は……”
「あーもう!思い出したら腹立つ!」
“女だから”
「…ほんと、悔しい。」
ココアを一気に飲み干し、苛立ちを募らせたまま、ベッドに潜り込んだ。
「(しかし…マイキーくんのあの言葉にはヒヤッとさせられた。)」
『もしオレから離れようとしたら…オマエを殺す』
「(冗談だったから良かったけど…仮にもし私がマイキーくんの傍を離れたら…マイキーくんは本気で私を殺すのだろうか?)」
あの光を無くした目で?
何の感情もない冷たい声で?
「っ…………」
想像しただけで体が恐怖で震えた。
「(大丈夫。マイキーくんは絶対にそんなことしない。私は…そう信じてる。)」
カノトは目を瞑り、次第に夢の中へと堕ちていった…。
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