第30章 溺愛彼女は我儘彼氏の甘やかしえっちで何度もイかされて(♥)
「ゲホッ…にすんだ…は、なせ…よ…っ」
首を締め付けられる苦しさに悠生は顔を歪め、マイキーの腕を掴み引き剥がそうとするが、力が強いのか、ピクリとも動かない。
「……………」
悠生の胸ぐらを掴んだまま、マイキーは顔を伏せ、ずっと無言を貫いている。
「ッおい…!離せって言ってんだ…!」
「……ェが……前を……んじゃねーよ……」
ボソッと小さく呟いた言葉は聞き取れず、悠生は早く息苦しさから解放されたかった。
「(コイツ…力が馬鹿みたいに強ぇ…!)」
「テメェが…」
「!」
「その名前を呼んでんじゃねーよ。」
「っ…………」
顔を上げたマイキーの目はハイライトを無くしたまま、狂気と殺気が渦巻いている。発せられた声にも力がない代わりに、恐怖を感じる程の強い憎しみが込められていた。
「(なんだ、コイツ…)」
「二度とその名前で呼ぶな。次呼んだら…その瞬間、テメェの心臓、止めてやるよ」
今にでも悠生を殺しそうな勢いだった。
「なぁ…吾妻悠生。これだけ言ってもまだアイツを諦めねぇならさ…もう仕方ねぇわ」
「え?」
「テメェはオレに喧嘩売ったって事だろ?いいぜ、その喧嘩、買ってやる。だから…死んでもいい覚悟でオレから奪えよ?」
ニヤリと口元を歪めたマイキーに背筋をぞっとさせた。パッと掴んでいた胸ぐらを離し、冷たい表情で悠生を一瞥した後、マイキーは階段を降り、そこから離れた。
「ゲホッ……っ……」
悠生は咳き込みながらその場に座り込む。
「…あんな奴が、カノトの恋人なわけがない。そうだ…きっと脅されてるんだ。今のがアイツの本性に違いない。人の良さそうな顔でカノトに近付いて、甘い言葉でアイツを騙して、ずっと優しい恋人を演じ続けてるんだ」
首に手を遣りやがら、悠生はマイキーが立ち去った方向を睨みつける。
「俺が助けてあげないと。あの男から解放してあげないと。このままじゃカノトが可哀想だ。…はは、そうしよう。その為には…カノトの目を覚まさせる必要があるな」
悠生はゆらりと立ち上がり、狂った笑みを浮かべる。
「必ずお前をあの悪魔から解放してあげる。だから今度こそ、俺と幸せになろう…」
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