第28章 薬指に永遠の口付けを
「は?もしかして…カノ?」
「?そうですけど…そんなに驚いた顔をしてどうしました?」
「いや…どうしましたって…え…本当にカノ…?」
「僕以外に誰に見えるって言うんです?」
「だってオマエ!その髪…!」
「あ、あぁ…これですか。ウィッグなんですけど外してくるの忘れました」
「っ〜〜〜!」
「マイキーくん?」
「めっちゃくちゃ可愛い!!」
「そ、そうですか…?」
「ぎゅってしよ!!」
「は!?ちょッ…!!」
カノトの格好にテンションが上がったマイキーは目をキラキラと輝かせ、人目も憚らず、嬉しそうにカノトに抱き着いた。
「ま、マイキーくん!?」
「メイド服似合いすぎ!髪も可愛い!オレの彼女めちゃくちゃ可愛い〜!」
「しー!!静かに!!みんなが見てる!!」
「ままー!あのふたりラブラブー!」
近くで母親の手に繋がれた小さい女の子が二人を見て指差す。恥ずかしくなってマイキーを引き剥がそうとする。
「マイキーくん離れてください!」
「え〜やーだ♥」
「見てる!小さい子が見てる!!」
マイキーは抱き着いたまま、チラッと女の子に視線を向けた。
「らぶらぶで羨ましいだろ♥」
ニヤリと笑うマイキーに女の子もパッと笑顔になってコクコクと頷いた。
「な…何を言うんですっ!!」
「オレらラブラブだってー♥」
「っ〜〜〜!!」
「わぁーメイドさんお顔が真っ赤!」
「メイドさん真っ赤ー♥」
「マイキーくん…っ!」
女の子と一緒になって揶揄うマイキーに恥ずかしさで赤くなった顔で怒る。早くこの場から立ち去りたい。それなのにマイキーは可笑しそうに笑うだけで離してくれない。
「おにいちゃんはおねえちゃんのことが大好きなのね!」
するとマイキーはカノトから離れ、女の子に歩み寄ると、両手を膝につき前屈みなって、にこりと笑って言う。
「うん。すげーだいすき。おにいちゃんの彼女、めちゃくちゃ可愛いだろ?」
「っ…………」
「うん!」
女の子が笑ったのを見て、マイキーも目を閉じ、にこりと笑い返した。
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