第28章 薬指に永遠の口付けを
「俺も告白したい相手がいて」
「っ……そ、それって……」
すると悠生はカノトの手の甲にキスをする。
「ちゃんと俺の想い、お前に届くように一生懸命伝えるから、絶対に見に来てよ」
「っ────!!」
まるで王子様のような仕草にカノトの顔が赤くなる。恥ずかしげに視線を逸らせば、その反応が嬉しかったのか、悠生から笑みが零れた。
「ほんと…可愛いね。」
「だ、誰がかわっ…!」
「ダメだよ、そういう反応見せちゃ。もっと見たくなって、意地悪したくなるじゃん」
「悠生くんのせいだろ!というか手!いつまでも握ってないで離して…!」
バッと振り払う。
「最初の頃より警戒心、解いてくれた?」
「悠生くんが僕を諦めない限り、警戒心は解かない。だから今みたいに手の甲にキ…キスするのも、やめて。」
「キスって言い慣れてないところが可愛い」
「っ!うるさい!からかわないで!」
「はは!」
「(このままだと悠生くんのペースに巻き込まれる…!)」
「好きだよ」
「…あっそ。」
「あれ?照れると思ったのに」
「悠生くんじゃ照れないよ」
「恋人なら素直に照れるの?」
「秘密。」
「ククッ…マジで分かりやすいねカノトは。そんなに恋人から照れるようなこと、されてるんだ?」
「悠生くん!!」
「ハイハーイ。もうやめまーす。」
意地悪な笑みを浮かべながら悠生は"もうしません"の意味を込めて両手を上げた。
「(ったく…)」
深い溜息を吐く。
「でも、さっきは本当に助かったよ。ありがとね、悠生くん」
「好きな子を守るのは当然だよ」
「僕は好きじゃないけどね」
「うわ…雰囲気ぶち壊し」
「それはスミマセンでしたー」
「ちょ!棒読みなんだけど!絶対に謝る気ないでしょそれ!」
「ふふっ、あはは」
「っ………!!」
握った掌を口元に当て、クスクスと小さく笑ったカノトに悠生は驚いたように固まった。
「(うわ…笑った。めちゃくちゃ可愛い…!やば、あんな顔で笑うとか反則だろ…!)」
その笑顔に一瞬でやられた悠生は顔を真っ赤にさせ、口を手で覆った。
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