第28章 薬指に永遠の口付けを
「どうだろ。彼女があそこまでこだわる理由は知らないけど…好きな人が委員長やる自分をかっこいいって褒めてくれたのがきっかけだって前に言ってた気がする」
「好きな人?あの委員長にもいるの?」
「さぁ。それが男なのか女の子なのかは分からないけど、今の自分があるのはその人のおかげみたいだよ」
「…へえ。かっこいいね、委員長。だからこのクラスのみんなは彼女のことを頼りにしてるんだ」
「本当に素敵な人だよ、彼女は。」
そんな会話をしながらカーテンの裏で少し休むことにした。
「それにしても…いいなぁ、執事服。僕も着替えようかなー」
「もうコレしかないみたいだよ」
「そうなの!?」
「諦めてメイドでいなって。カノトのおかげで男の客もたくさん入ってるじゃん。ちゃんと貢献に繋がってるよ♪」
「男にモテても嬉しくない…。それに悠生くんだって執事服着てるせいか、女性客がすごく増えたよ。やっぱりモテるね、悠生くん」
「それはカノトも同じでしょ。普段は女の子達に囲まれてモテまくりじゃん。俺はお前が羨ましいよ」
「僕がモテるのは顔が良いからだよ。イケメンじゃなきゃ寄って来ないって」
「でもカノトは優しいからきっとイケメンじゃなくても女の子達にモテてたと思うよ」
「そうかな」
「俺はお前のそういうトコも好きだよ」
「!?な、なに…突然…」
普通に会話をしていたせいで気が緩んでたのか、突然の悠生の不意打ちにドキッとした。
「突然じゃない。前からカノトは優しいって思ってるよ、俺。それにこうやってストレートに伝えないと本気にしてもらえないだろ?」
「……………」
「俺は遠慮しないタイプなんだ。好きになった子には尚更ね。お前が俺のこと眼中にないのは知ってる。だから頑張ることにした」
「悠生くん…何度も言うけど僕は…」
「それにこの文化祭って、告白大会みたいなのがあるんでしょ?」
「え?あぁ…うん。生徒会主催のね。でもそれがどうかした?」
「俺、エントリーしちゃった☆」
「は!?悠生くん、あの大会に出るの!?」
「うん」
悠生は驚くカノトに目を閉じて、ニコリと笑って言う。
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