第28章 薬指に永遠の口付けを
「まだ営業妨害を続ける気?アンタ達がずっと居座ってるせいで、次の客が入れないのよ」
教室の入口を見ると行列が出来ていることが窓から確認できる。
「つまり…売上も伸びないってこと。アンタ達…あたしの苦労を潰す気?売上に貢献するって言うなら、そうね…臓器の一つでも売ってきてもらおうかしら?」
「ぞ、臓器…?」
「あたしの知り合いに闇医者がいるんだけどね、綺麗に切り取ってくれるのよ。まぁ…その後のアンタ達の体がどうなるかは知らないけどね?」
闇医者がいるのは全くの嘘だが、あまりの彼女の迫真の演技に本気と捉えた男達は、ゴクッと生唾を呑み込んだ。
「どうかしら?貢献してくれる?」
「こ…こんな店に誰が貢献するかっ!!」
「てめぇが店長なんて笑えんな!!ただのガキのくせに随分と強気じゃねーかよ!!」
「店長じゃないわ」
「は?いや…コイツらが店長って…」
「店長である前に委員長様よ。分かったらとっとと出て行きやがれ。バカ高校生が♥」
「な、なんなんだよ…!」
「もう行こうぜ!」
「金なんて払わねーからな!」
凄む勢いでニコリと笑えば、男達は恐れを為して、逃げるように教室から出て行った。
「二度と来るんじゃないっての」
「(後で塩でも撒いておこうか…)」
「皆様、大変お騒がせして申し訳ありませんでした。無事、迷惑客を追い出すことに成功致しましたのでご安心を。この後も引き続きどうぞ、楽しんで行ってください」
手を胸に添え、軽く頭を下げた委員長に周りから喝采の拍手が送られた。
「宮村、悠生くん、ご苦労様だったわね。少し裏で休んでていいわよ」
「ありがとう」
ポンッと肩を優しく叩くと、何事もなかったかのように委員長は別のテーブルへと料理の注文を取りに行った。
「ねぇ彼女って、昔からあんな感じなの?」
「うん。一年の時から一緒だけど、とても勇気があって、責任感が強くて、率先してみんなを引っ張って行くんだ」
「まさに委員長って感じだね。もしかして一年の時も委員長やってた?」
「やってた。確か自分から委員長に立候補してたよ」
「ふーん。"委員長"って職が好きなのかな?」
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