第28章 薬指に永遠の口付けを
「お断りだっつってんだろ。しつこいんだよ。とっととそれ食べて飲んで帰れ、バカ高校生共。」
「あ?なんだと?」
「てめぇ…口の利き方に気をつけろよ。こっちは売上に貢献してやろうと思ってわざわざ来てやってんのに、なんだその態度は?」
「調子に乗ってんじゃねーぞ中坊が!!」
不穏な空気に周りのクラスメイト達や一般客達も驚いているようで教室がざわつき始める。
「売上に貢献?それこそふざけんな。コーヒーとサンドイッチしか頼んでないくせに何が貢献だ。どうせ男のメイド姿を冷やかしに来ただけの迷惑客だろ」
男達の顔が不愉快そうにしかめられた。教室にいる人達も異変に気付き、こちらを覗いたりしている。
「それと、うちの執事とメイドに触るのはマナー違反だ。そういう事がしたいならデリヘルでも呼んでヌいてもらえよ」
「この野郎!!」
キレた男達が椅子から立ち上がり、カノトの近くにいた男が手を伸ばし、触れようとした寸前で、助けが入る。
「うちのメイドに触んな」
「!」
「悠生くん…!」
一人でも対処できたが、その前に後ろからぐっと体を引き寄せられ、驚いて顔を上げれば、険しい表情を浮かべた悠生が、カノトに触ろうとした男の手を掴んでいる。
「大丈夫?」
「うん、ありがとう…って、あれ?」
悠生の着ている服を見て不思議そうに首を傾げる。
「何で執事服着てるの?」
「やっぱコッチの方がいいかなって。それに女の子達からの要望があってさ♪」
「ずるい!僕の時はダメだって言われたのに!なんで悠生くんはいいんだよ!」
「まぁ俺はイケメンだし?それにほら、カノトは女装が似合ってるから別にそのままでも可愛いよ」
「全然理由になってない!それに僕だってモテるよ!」
「ザンネンだったね☆」
「納得いかない…」
むっと悔しくて顔をしかめた。
「おい!俺達の存在を忘れてんじゃねーよ!!」
「あれ?まだいたんだ」
「なんだと!?」
「ナメやがって…ここのメイドと執事は客に生意気な口を利くのか!?あぁ!?」
怒鳴る男達に周りの人達が迷惑そうな顔や怯えたような顔をしている。それを見た二人は顔を見合わせて頷いた。
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