第28章 薬指に永遠の口付けを
文化祭当日────。
「お待たせ致しました。こちらご注文頂いたコーヒー三つとサンドイッチになります」
運んできたコーヒーとサンドイッチをテーブルに置いて立ち去ろうとすると、ニヤついた男達がカノトを引き止める。
「君、ホントに男?」
「どっからどう見ても女じゃね?」
「ここまで女に化けれるとかある意味やべ〜!」
「(冷やかし目的か…)」
「男のメイドなんて気色悪ィと思ってたのに、お前みたいに似合う奴がいるんだな」
「なぁメイドさん。せっかく来てやったんだから御奉仕の一つでもしてよ」
「…失礼致します」
揶揄うように笑う男達を無視して立ち去ろうとすれば、ガシッと腕を掴まれ、イラッとした。
「ちょっと待てよ」
「そんなに急いで行かなくてもいーじゃん」
「…離して頂けますか?」
「随分愛想の悪いメイドだなー。こっちは客だぜ?分かる?お前らのご主人様なの。そのご主人様の要望に応えんのがメイドの役目だろーが」
「つーか他の奴の注文取りに行かないでずっとココで俺達の相手してよ」
「メイドさ〜ん。なんか寒くなってきたから膝の上に乗って抱きしめてよ〜」
「あーじゃあオレ、喉が渇いたから口移しで飲ませてほし〜!」
「ぎゃはは!オマエ男と関節キスしてーのかよ〜!」
下らない事を言う馬鹿共に持っていたトレイを頭に叩きつけてやりたい気分だ。でもそれは流石にまずいのでグッと堪える。
「そういうサービスはやってません」
だから手を離せ
マイキーくん以外に
触られたくないんだよ
「なぁその胸って本物?ちょっと触らせろよ。女みたいに作ってあんのか確かめてやる」
「お前!まじ変態じゃん!」
「はは!やべえ〜!」
「……………」
「男なんだから触られても平気だろ?」
「お断りします」
「え〜別にいいだろ〜!女じゃあるまいし、触られたとしてもセクハラになんねーし!」
「そーだそーだ!」
あまりのしつこさにプチッと頭の中で何かが切れた音がした。カノトはダメンズ達に向けるような無表情+蔑むような冷たい目で男達を睨みつける。
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