第27章 実らない初恋をいつまでも
「ハイハーイ!!うちのイケメン君の女装は見世物じゃありませーん!!閉めまーす!!」
「えー!まだイイじゃん!」
「そーだよ!写メ撮らせて!」
「つーか誰よアンタ!そこ邪魔!」
委員長が教室のドアを閉めようとすると外からブーイングが飛んでくる。それにイラッとした委員長がギロッと睨みながら言った。
「こっから先は有料よ。タダで顔面国宝を拝めると思ったら大間違いなんだよ。それ以上しつこいと金むしり取んぞ」
「「ひぃぃ…っ!!」」
バンッ!!と強く扉を閉めた委員長に"さすが我がクラスの委員長様…!!"と彼女の物怖じしない度胸にクラスメイトから拍手が送られた。
「ほら!さっさと作業の続き!いつまでも騒いでないで!終わらないから!」
「(さすが我がクラスの委員長様。)」
「そこの美人メイドさん♪」
「!!」
「すげー人気者だね」
「…悠生くん」
「これなら客もたくさん来るんじゃない?カノトのメイド服なんてレアだからね。しかも女装つき♥」
「茶化さないでよ。大体、僕のこんな格好を見て誰が得するんだか。もっと似合う人がいると思うのにさ」
「少なくとも俺は得してるよ。キレイ過ぎて見た時ビックリした。今日はカノトのおかげでいい夢見れそう♪」
「なにそれ」
「というか、こうして見ると本当に女の子みたいだよね。男なのに女の格好が全然不自然に見えないっていうか…」
「そ、そう?」
「うん。ますます惚れちゃいそう♥」
「……………」
にっこりと微笑んだ悠生の言葉に聞こえないフリを突き通す。
「あれ?無視?もしかして本当は聞こえてるけど聞こえないフリ作戦?」
「(ホント喋り方も軽いなー…)」
「もう観念して俺に揺げばいいのに」
「それは絶対にない」
「あ、ちゃんと聞こえてるんじゃん。ひどいなーカノトは。俺のスキンシップを容赦なく切り捨てるんだもんなー。せっかく語尾にハートまで付けたのに」
「本当はからかって遊んでるんでしょ?」
「いや?カノトが好きなのは本当。だから"ますます惚れた"って言ったじゃん」
「教室でそういうこと言わないでよ。変に誤解されたらどうすんの」
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