第27章 実らない初恋をいつまでも
「アンタ…男共の女装姿なんて見たいの?うわ…想像しただけで寒気する」
委員長はブルっと体を震わせる。
「そりゃアンタと悠生くんは女装しても似合うわよ、だって顔が国宝級だもの。けどそれ以外の男共が女装したらそれはただの地獄絵図よ。それこそとんだ笑いものだわ」
「(相変わらず毒舌が強烈だ。)」
「さぁ宮村、そろそろ観念してとっとと着替えやがれ♥今年はアンタのその国宝級の美形を存分に活かして、男共のハートをめろんめろんにしてね♥」
パチンっとウインクをされる。
「い、いや…でも…」
「それとも…猫耳プレイがお望みかしら?」
「すぐに着替えて来ます…っ!!」
「良し」
「(うぅ…何で私だけ!しかもこのウィッグ、現代での私の髪型にソックリ!!これって…まんま私じゃん!!)」
やはり我がクラスの委員長様は強かった。その恐ろしさを改めて感じたカノトは渡されたメイド服とウィッグを持ち、空き教室へと入り、着替え始めた。
「うわぁ〜…未来の私が小さくなった感じ。まずいなぁ…何でこうなっちゃうんだろ…」
ハァ…っと大きな溜息を吐いた。
「サイズはピッタリ。靴も小さくない。ウィッグも安定してるし、メイド服が似合い過ぎるのもなんか複雑…」
一応スカートの中は
短パン履いてるけど
大丈夫だよね?
「でも猫耳を付けて接客するよりマシか…」
もう一度、深い溜息を吐き、空き教室を出た。
✤ ✤ ✤
「ねえ!!心叶都が女装してメイド服で接客するんだってー!!」
「えー!!そうなの!?」
「しかも今着替え終わって教室にいるらしいよ!!行ってみようよ!!」
「(カノちゃんが女装!?メイド服着るだけって言ってた気が…)」
「タケミチ!あの宮村が女装だって!」
「あ、あぁ…」
「面白そうだから見に行こうぜ!」
「(アイツが女装しちまったら学校中の男達がめろんめろんにされちまうに違いねえ…!)」
友達に誘われ、タケミチはカノトの教室を覗きに行った。
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