第27章 実らない初恋をいつまでも
寝不足のまま授業を受け、必死に睡魔と戦いながら全ての授業を乗り切る。そして放課後になり、文化祭の準備に取り掛かろうとしたところで委員長に呼び止められた。
「みーやむーらくーん♪」
「…な、何?」
いつもなら"宮村"と呼び捨てにするのに、今日に限って、君付けだ。しかも『無駄な笑顔は振りまかない』がモットーの委員長が何故かニコニコと笑っている。
「ちょっとお願いがあるんだけど♥」
「お願いの前にその笑顔がコワイよ…」
「これがあたしよ♪」
「(すっごいニコニコしてる!!怖い…!!)」
「それでお願いなんだけど…」
「(嫌な予感がするのは気のせい…?)」
「Hey You!!女装して接客しちゃいなYo!!」
「はぁ!?じょそ…っ…えぇ…?」
ラップ口調でとんでもない提案をした委員長に驚きを隠せず、混乱する。
「ちょ、ちょっと待って!!女装って…!!何でいきなりそういう提案に!?」
「今年はがっぽり稼ぎたいのよ。そこで宮村、アンタ顔は美人寄りでしょ?ただメイド服着て接客してもクソつまんないわ。やっぱり多くの客を呼ぶにはそれなりの興味を誘わないとでしょ?」
「まさか…僕を女装させて多くのお客さんを呼び寄せてたくさん稼ごうっていう魂胆…?」
「よく分かってんじゃないの!」
「ぜ、絶対にやだよ!」
「拒否る理由は?」
「メイド服着るだけでも恥ずかしいのに、その上女装して接客しろなんてただの拷問だよ!みんなの前で恥かいて笑われるに決まってる!」
「甘いわね宮村。それがいいんじゃない。」
「どういうこと?」
「みんなアンタの恥ずかしがる姿が見たいってコトよ!というワケでヨロシク!!ハイこれメイド服とウィッグね!ついでにサイズ合ってるかどうか知りたいから着替えてきて!」
「い、いやいや!!待って!?そんな強引に話を勧められても納得いかないよ…!!」
「猫耳+メイド服とどっちがいい?」
「え?」
「猫耳付けて語尾に"にゃん♥"を付けながら接客するか、女装して接客するかの二択。それ以外の選択はないよ」
「何その二択!?僕だけなんて不公平!せめて男子全員女装にしてよ!」
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