第27章 実らない初恋をいつまでも
「"あの時"は惜しい所で殺し損ねたからな」
「(前に見た夢が繋がってる!?)」
「どうせ"コレ"も夢なんだろ?だからこうしてオマエはオレの前にいる。そうだろ?」
「マイキーくん…手を離してッ」
「苦しいか?そりゃそうだ。こうして強く引っ張ってんだからな。オマエが苦痛で顔を歪めるのも無理もねぇ」
「なら…離してください…っ」
「このまま絞め殺してやろうか?」
「!!」
更にグッと引っ張られ、首を締め付ける苦しさから逃げるようにマイキーの胸をドンッと突き飛ばす。
「げほッ!っ、はぁ…ケホッ」
「……………」
突き飛ばされたマイキーは無表情でじっとカノを見つめている。涙を浮かべて咳き込むカノにマイキーは静かに言う。
「夢でもオマエはオレの前から消えちまう。その度にオレは苦しむ。"またオマエから解放されなかった"と。なァ…オマエはいつまでオレを縛り付ける気だ?」
「私は…マイキーくんを…苦しめてるつもりも…縛り付けているつもりも…ありません」
「ならオレの中に残るこの感情はなんだ?オマエを殺したくて仕方ない、この強い憎しみはなんだ?オマエの存在がオレを苦しめてる証拠だろ?」
「(彼の眼から…強い憎しみを感じる。)」
「さっさと殺してオマエから解放されてぇのに…殺したと思えば、また夢でオマエに会う。もう…うんざりだ」
「マイキーくん…」
苛立つように吐き捨て、マイキーは憎しみをぶつけるようにカノを睨む。
「オレがこうなったのも全部オマエのせいだ」
「!」
「オマエと出逢わなきゃ、オレはオマエを見つけることも知ることもなかった。オマエがオレを好きになんてならなければ、オレもオマエを好きにならなかった」
「っ…………」
「オマエがオレを狂わせたんだ。だからオマエを壊(ころ)す。」
「(…壊す事でマイキーくんは私から解放されると思ってる。でも殺したにも関わらず、何度もこうして夢の中で会うのはきっと…彼が私を未来で殺せていないからだ。)」
「オレの中からオマエへの気持ちが完全に消えるまで…何度も、何度も、オマエを殺し続ける。この、果てのない夢の中で…」
「(とても…寂しそうな顔。)」
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