第27章 実らない初恋をいつまでも
「何か鎖を壊せる物でもあれば…」
そうだ!
キャビネットの中に何か入ってるかも!
ベッドから下りて少し離れたキャビネットまで歩き、引き出しを開ける。中は何も無かった。
「…そんな上手くはいかないよね」
がっくりと肩を落とす。
「あ。無理やり引っ張ったら脚が折れて鎖が外れるかも!」
もう一度ベッドまで戻り、しゃがんで脚に括り付けられている鎖を観察する。
「…うん、なんとかいけそう。」
鎖を手繰り寄せ、"よし!"と意気込んで立ち上がった時…。
「───何してる。」
「っ!?」
静かな部屋に響いた一つの声。突然、話しかけられて心臓がドキッと嫌な音を立てた。驚いて咄嗟にドアの方へと顔を向ける。
「え……?」
その顔を見た途端、目を見開いた。
「マイキー…くん?」
「……………」
目の下に濃い隈が出来た、白髪のマイキーがハイライトを無くした目で、カノをじっと見ている。
「(っ、そうか…白髪のマイキーくんが目の前に現れたということは…これは夢だ──!!)」
以前、一度だけ夢の中に白髪のマイキーが現れたことがあった。記憶にない無機質な部屋。身に覚えのない首輪と鎖。目の前にいる『間違った道に進んでしまった』闇堕ちのマイキー。全て…夢の中の出来事だった。
「!」
するとマイキーの視線がカノの手に握られている鎖に向けられ、彼は大きく目を見開いた。
「また…逃げようとしたのか?」
「え、」
ギリッと歯を噛みしめたマイキーは苛立つ顔で近寄って来ると、カノの首輪近くの鎖を引っ付かみ、グッ!っと自分の元に強く引き寄せる。
「いッ!?……うぐっ!!」
「オマエはどうしてオレの言う事が聞けねぇ!?」
「…………っ!!」
キレたマイキーに怒鳴られ、恐怖で身体がビクンッと跳ねた。それでもマイキーの怒りは収まらず、鎖の掴む手に力が入る。
「いつもいつも!!オレから逃げやがって!!こうして閉じ込めておいても結局オマエはオレの傍から離れようとする!!」
「ま、いきーく…っ、苦し……ッ」
首が締め付けられ、苦しさで顔を歪める。
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