第26章 我儘な彼氏は彼女の隠し事を暴きたい
「(だから過去のマイキーくんに会ったら…未来のマイキーくんを思い出して、泣いちゃうかもしれない。)」
けど……それでも私は……
マイキーくんに会いたい
世界で一番、優しくて
大好きな、あの人に────。
「(約束も、ちゃんも守るね。)」
髪の横を編み込んで、ヘアピンで止める。
「ねぇ"マイキーくん"。私、貴方に会いに行きます。過去の…まだ独りでいることに慣れていない貴方に。今度は絶対に独りにさせない。必ず…私が救ってみせる」
そう強く決意し、佐野家に向かった。
◇◆◇
インターホンを鳴らした瞬間、ガラッと勢いよく扉が開き、驚いた顔を浮かべる。
「びっ……くりした。そんなに強く開けられるとは思わなかったです」
「カノ!!」
「!」
久しぶりの再会で嬉しさが勝っているのか、カノトの顔を見た途端、両手を広げて飛びついてきた。
「た、倒れる……ッ」
とも思ったがマイキーがちゃんと支えてくれている為、後ろに倒れる事はなかった。
「すげー会いたかった〜!」
「私もすごく会いたかったです」
「さっきまですげー寂しかったのに、カノの顔見たら今までの寂しさが一気に吹き飛んだ」
「それは良かった」
「カノに会いたくて、すげー会いたくて、会いに行きたかったけど、文化祭の準備の邪魔しちゃ悪いと思って、独りでずーっと、カノのことばっか考えて、カノに会える日をずっと楽しみにしてたんだからな!」
拗ねるようにマイキーは言う。
「オレに寂しい思いをさせた罰として今日はオレの我儘たくさん聞いてもらうからな!」
「はい」
「え?マジでいいの…?オレの我儘だぞ?」
「自分から言っておいて驚かないで下さい」
まさかこんなあっさりと了承してもらえるとは思わなかったのか、目を丸くさせたマイキーは驚いた顔でカノを見た。
「だっていつもならそんなすぐ受け入れねーじゃん」
「そうですね。でもマイキーくんの我儘は…」
背中に両手を回し、ぎゅっと抱き締め返す。
「何やかんやで付き合うのが楽しいんです」
「!」
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