第26章 我儘な彼氏は彼女の隠し事を暴きたい
「ココア売り切れ…」
文化祭の準備が終わり、学校を出て少し歩き出した頃、急に喉が渇き、自販機でココアでも買って飲もうかと思えば、赤いランプが点灯しており、ガックリと肩を落とす。
「しょーがない、レモンティーにするか」
"甘い物が良かったんだけどな"と残念そうに溜息を洩らし、お金を投入してピッとボタンを押した。
ガコンッと下から出てきたレモンティーのペットボトルを取り出す。
「それにしても文化祭の準備ってこんなに忙しかったっけ…疲労感が半端ない」
身体は13歳でも中身は26歳だ。新人として病院に務め出した頃の忙しさを思い出す。なので余計に糖分が欲しくなるのだ。
「あーでも…ダメンズ男を天誅する忙しさに比べたら全然だな。何で毎日あんなクズ男共を相手にしてたんだろ…」
今度は嫌気が差し、深い溜息が出る。
ピロン♪
「!」
蓋を捻って開けようとしたところで、ポケットに入れていた携帯が音を立てて鳴った。
「マイキーくんからメール…」
【すげぇ寂しくて死にそう。】
【なぁ、今日も文化祭の準備忙しいの?】
【そろそろ構ってくんねぇとやだ…。】
「(文化祭の準備が落ち着くまでは会えないって言ったからな…。最近は寝る前の電話だけで済ませてるし。)」
しょんぼりと項垂れたマイキーを想像し、申し訳ない気持ちで胸がいっぱいになる。
「私もマイキーくんに会いたいな」
まだ返信してないのに足は自然とマイキーの家がある方向へと歩き始める。
"私もマイキーくんに会えなくて寂しいです。文化祭の準備も落ち着いてきたので、これから家にお邪魔してもいいですか?"
「送信完了っと……」
ピロン♪
「早ッ!!」
10秒も経たず返信が返ってきた。
【いいに決まってんじゃん!つーかカノがオレんち来るのに許可なんかいらねーし!会うのすげー楽しみにしてるから早く来て!】
「ふふ、」
嬉しそうなマイキーの顔が思い浮かび、カノトは笑みを零す。
「(正直、会うのは少し怖い。未来のマイキーくんは私の腕の中で死んでしまった。"愛してる"の言葉を伝えて。)」
携帯を閉じ、ポケットにしまう。
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