第25章 思いもよらない告白
「でも俺、諦め悪いんだ。欲しいものはどんな手を使ってでも手に入れたい。それが例え好きになった相手に恋人がいようと…ね」
「!」
「だから簡単に隙、見てないでよ。あ、勘違いしないでね。別にカノトとその恋人を別れさせてやろうとか思ってないから。ただ…ほんの少しでもカノトの気持ちが俺に傾いたら…その時は遠慮なく奪う」
「悠生くんって、実は最低な人?恋人ができてもすぐ別れるって言ってたけど…彼氏持ちに手を出したからじゃないの?」
「ハハ…最低な人かもね?確かに彼氏持ちに手を出した事もあるよ?でも仕方ないじゃん。向こうから来るんだから拒む理由なんてないだろ?」
なんの悪びれもなくニコッと笑う悠生に不愉快そうにグッと眉間が寄る。それに気付いていても悠生は笑顔を張り付けたまま、カノトを見つめていた。
「悪いけど、悠生くんを好きになる事は絶対にないから。気持ちが君に傾く事も絶対にない。だから潔く諦めてよ」
「それは聞けない頼みだな」
「僕とあの人の仲を拗らせても無駄だよ。どんな事があっても僕はあの人の事を信じてるし、ずっと傍にいるって誓ったから」
「!」
「悠生くんの想いには応えられない」
「ハッキリ言うね」
「ハッキリ言わないと諦めないでしょ。僕には大事な恋人がいる。多分、悠生くんの『それ』は恋じゃない。恋だと錯覚してる何かだよ。僕が好きな訳じゃない」
「…錯覚でもいい。けどさ…お前に対するこの想いは本物だと思うんだ。男を好きになるシュミなんてなかったのに…なんでお前に惹かれたんだろうな」
「(それは多分、私が女だからだ。悠生くんは男装してても無意識に"女"である私に惹かれてるのかもしれない…。)」
「俺に諦めさせてほしいならさ…本気で俺を拒絶してよ。今のカノト、完全に俺を拒絶できてないデショ?」
「そんなことない…」
「いや、そんなことあるよ。だってカノト、優しいからさ。そういう奴は簡単につけ込まれるから気を付けた方がいい」
「僕は優しくないよ」
「本当に優しくない奴なら、男に告られた時点で気味悪がってるって。でもカノトは罵倒も拒絶もしなかった」
「!」
「そこがお前の優しさ」
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