第25章 思いもよらない告白
目を瞑って笑う悠生の言葉に何も言えなくなる。優しいから完全に拒絶できない。だから悠生が最低な奴だと分かっていても、多少の優しさが邪魔をして、彼を本気で嫌いになれないのかも知れないと思った。
「悠生くんに絶対に諦めてもらうから」
「カノトの気持ちが揺れる事を楽しみにしてるよ」
「…………っ!!絶対にない…!!」
ムッと顔をしかめて強く否定した。
「悪ィ!お待たせ!」
「おかえり」
「いや〜!財布無くさなくて良かったわ〜!俺の全財産だからな!」
「………………」
「ん?どうした宮村?そんな険しい顔して?せっかくのイケメンが台無しだぞ?」
「…なんでもないよ」
財布を忘れて取りに行っていた友人が呑気に笑いながら戻って来た。するとカノトの様子に気付いた友人が不思議そうに声を掛けるも、冷たい言い方をされてしまう。
「…つーか、お前らなんかあった?」
「何で?」
「いや…空気が悪いっつーか…ギスギスしてるっつーか…なんかあったと思うだろ?」
「別に」
「何もねーよ」
「ならいいんだけど…」
「そういえば兄さんが車で迎えに来てくれる事になったよ。さっきメール送ったら秒で返事が返ってきた」
「お!ラッキー!これで学校まで楽ちんだな♪」
友人が嬉しそうに言う中、ベンチから立ち上がり、自分の荷物を持つ。
「あ、俺が───……」
「自分で持つから大丈夫」
「………そっか。」
手を伸ばした悠生を制するように冷たく言い、背を向ける。カノトに拒絶された悠生はどこか寂しげな顔をしたが、それ以上は何も言わず、自分の荷物を持った。
「(絶対コイツらなんかあったな。宮村の顔すげー不機嫌だし、吾妻に対する態度が変わった気がする。)」
チラリと悠生を見る。
「(吾妻はフツーだな。けど一瞬見えた寂しそうな顔はなんだ?聞きたいけどこういうのは第三者が口を挟むと余計にややこしくなるから黙っておくか…。)」
友人は意外と空気の読める男だった。二人の間に何かあったのかは明らかだが、自分が口を挟む事で余計な水を差したくない為、どちらかが話してくれるまで黙って見守る事にしたのだった。
next…