第24章 約束を破った罰として
「カノ…ぎゅって、して。」
「!」
「あの頃みたいに…」
ポロポロと涙を流したまま、マイキーを抱きしめる。彼はもう、抱きしめ返す力すら残っていなかった。だからカノは今まで会えなかった分の"大好き"を込めて、震える体でぎゅぅぅぅっと強く抱きしめた。
「やっぱあったかいなカノ…。オマエに触れてると…安心する」
「…死なないで」
「……………」
「私を…置いて行かないで。独りにしないで。この世界に残して…先に遠い所に一人で、逝かないでっ」
「カノ」
名前を優しく呼ばれ、首に埋めていた顔を上げる。
「ずっと泣いてばっかだな。オマエは笑った顔が一番可愛いんだから、泣くなよ」
マイキーは困った顔で笑う。その力なく笑った顔につられて、カノは更に涙を流す。
「やだ…やだやだ…お願い…死なないで!私はマイキーくんがいないとダメなの!せっかく会えたのに…これでお別れなんて…絶対にイヤ!!ずっと私と一緒にいてよ…!!」
「もし…違う世界でまたオマエと会えたら…今度はずっと一緒にいたいな」
「っ……マイキーくん……」
「オレを許して…カノ。オマエに…嫌われたくない。例え殺意があったとしても…オマエを好きな事に…変わりはなかった」
マイキーは涙を流す。
「ただ…この苦しみを終わらせたかったんだ。オマエが傍にいない世界を…この、最悪な未来を…終えたかった」
「お願い…逝かないで」
「最後に会えてよかった」
「マイキーくん!お願い…!」
「好きだよ。この先もずっと…カノだけを愛してる。」
力の入らない腕がゆっくりと後頭部に手を伸ばされ、優しく引き寄せられると…お互いの唇が重なった。
驚いて目を見張るカノだが、マイキーの思いに胸が張り裂けそうになり、閉じられた目からはツゥー…と一筋の涙の粒が零れ落ちた。
「……………」
そっと唇を離す。
「…マイキーくん?」
声を掛けるも、マイキーは目を閉じたまま、カノの呼び掛けに応えない。
「マイキー…くん…」
震える手で頬に触ると体温を失った体は驚くほど冷たかった。
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