第24章 約束を破った罰として
「そんな寂しい事、言わないでください…私はマイキーくんとこれからもずっと一緒にいたいです。"記憶の中"じゃなくて、ちゃんと私の傍にいてください…っ」
カノが顔を俯かせると、髪で隠れて見えないが、耳で何かが揺れた気がした。
「それ……」
「え?」
マイキーは手を伸ばし、カノの横髪をそっと耳に掛ける。
リン…ッ
澄んだような綺麗な音が鳴った。
マイキーは驚いて目を見張る。カノの耳にラベンダー色に水玉模様が描かれた硝子玉が付いていた。
それは武蔵野祭りの日、マイキーが射的で特賞を当てた結果、手に入ったピアスだった。
「一番に見せるって約束したでしょう。今日会えるかもしれないと思って付けて来たんです。どうですか?」
「すげぇ似合う。似合いすぎて可愛い。揺れてんの…なんかイイな」
「ありがとうございます」
「ずっと付けててよ…そのピアス以外、付けちゃダメ。カノの目の色とおんなじ、紫の硝子玉…すげーキレイだから」
「…付けません、このピアス以外は。マイキーくんが私にくれた物だから」
「うん…あともう一個、伝えさせて」
「?……はい。」
「カノ、もう少し、顔…近づけて」
言われた通り、マイキーに顔を近づける。
「オレ、オマエに嘘ついた」
「嘘?」
「うん」
「何の嘘を吐いたんですか?」
するとマイキーは優しい顔で笑う。
「好きだよカノ。昔も今もずっとオマエだけが大好きだ」
「っ………!」
「オマエを好きだって気持ちはもうないって言ったけど…全部、ウソだ。本当はずっとカノが好きだし、カノをめちゃくちゃ愛してるし、カノだけに愛されたい。オレ…オマエにベタ惚れなんだよ。自分でも驚くほどにさ…」
「…なんですか、それ。私、本気でマイキーくんが…私のことなんてもう好きじゃないんだって…思って…悲しかったのに…」
本当は今でもずっと自分の事を好きでいてくれていたのだと知り、止まったはずの涙が溢れる。
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